競合調査の重要性やメリットは?調査で使えるフレームワークも解説

KW競合調査って本当に必要なのだろうか?

売り上げが落ち込んでるときに競合調査なんてやってる場合か?

新規でサービスを立ち上げる予定はないし、必要ないか…

 

このように考えている経営者の方はけっこう多いのではないでしょうか。

 

競合調査は新しく商品を開発したり、新規事業を展開したりする際に必要だというイメージが強いかもしれませんが、売り上げが低迷しているときにその原因を探ったり、競合がなぜうまくいっているのか勝因を把握したりする際にもとても効果があります。

 

つまり、顧客に選ばれ、利益を出し、この先何年も経営を続けていく企業である限り、競合調査を行うことはすべての会社にとってとても重要であると言えるのです。

 

しかし、競合調査をやる意味やメリット、デメリット、正しい方法を把握しないまま競合調査をしてしまうと、全く意味のない経営戦略が出来上がってしまう可能性がありますし、当たり障りのない戦略では、時間と労力をかけて競合調査を行った意味がなくなってしまいます。

 

せっかく競合調査を行うのであれば、自社の強みと弱みを把握し、他社と差別化するための抜本的な戦略を立てていきたいですよね。そこで今回は、競合調査の必要性や、調査を行う上で使えるフレームワーク、競合調査を効果的に行うための外注という選択肢について詳しく解説していきます。

 

競合調査はなぜ必要?

競合調査とは、簡単に言えば、競合企業のビジネスモデルや事業内容や商品、サービスなどを調査して分析し、強みや弱みを把握したうえで、自社の事業と比較して分析調査することです。

 

この競合調査がなぜそれほど重要なのか、どのようなメリットがあるのか、似ている言葉の「市場調査」と何が違うのかについて見ていきましょう。

 

競合調査が重要と言われる理由

たとえば、今あなたの会社のある商品の売り上げが以前よりも伸び悩んでいるとします。このとき、自社の商品だけに目を向けて、あーでもないこーでもないと議論を続けていても、納得のいく原因は見つけられないでしょう。

 

競合調査をして、ライバルがどのようなサービスを展開しているのか、自社の商品と何が違うのか、お客さんはどういう観点から自社ではなく競合の商品を選んでいるのか、を分析して初めて商品の売り上げが伸び悩んでいる原因が判明しますし、今後の対策も効率的に考えていくことができるようになります。

 

「この商品は自社にとって目玉で、以前は爆裂な売り上げを上げていたんだ!!」と過去の栄光にすがっていても、取り巻く環境や競合の戦略、顧客のニーズは日々変わっていきます。競合調査を行うことで、自社の立ち位置もわかりますし、生き残るための戦略も見つけることができるのです。

 

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競合調査をするメリットとデメリット

競合調査を行う重要性については先ほど述べましたが、ここでは競合調査を行うメリットとデメリットについても見ていきましょう。

 

【競合調査を行うメリット】

✓競合と比較することで自社の強みと弱みがわかる

✓新しい競合企業を発見できる可能性がある

✓トレンドや顧客のニーズの変化に気がつける

✓競合との差別化戦略を立てられる

✓価格や販売戦略、人事戦略などの見直しなどができる

 

競合調査をするメリットは、ずばり自社独自の個性を発見できるところです。また、新しいライバルの発見や、最新のトレンドを見つける機械にもなるでしょう。

 

競合調査の結果をもとにさまざまな戦略を立てることで、お客様に選ばれ続ける持続可能な経営をすることにつながります。

 

【競合調査を行うデメリット】

一方で、競合調査にはデメリットもあります。

 

✓時間と労力、費用が必要

✓独自性がなくなる恐れがある

✓一度やって終わり、ではない

 

競合調査を意味のある物にするためには、かなりの時間とコストがかかるものです。また、正しい方法で行い、客観的な分析ができなければ、誰もが思いつくような独自性のない戦略を導き出してしまう恐れもあります。

 

さらに、競合調査は一度やればそれでオーケー、というものではなく、ライバルや時代の流れに合わせて、定期的に行っていかなければ意味がありません。企業として経営を維持していくためには、現状維持では不十分で変化し続ける姿勢が大切なのです。

 

市場調査との違い

競合調査と似ている言葉で混同されやすいものに市場調査があります。

 

簡単に比較すると、競合調査はライバルと自社を比較分析するのに対して、市場調査は顧客のニーズや市場動向を探るというのが特徴です。

 

市場調査での調査方法はインタビューやインターネットアンケート調査が一般的で、調査で得られたデータをもとに既存サービスや商品の改善を行ったり、新規商品開発に活用されたりします。

 

一方、競合調査は競合企業のサービスや商品を調査して、様々な項目について自社のサービスや商品と比較し、自社の改善すべき点、伸ばしていくべき点を把握するためのものです。調査項目は目的によって異なってきますが、多くの場合、売上や来客数、価格帯、ターゲット層、ホームページの内容などが項目として挙げられることが多いです。

 

いずれの調査も企業にとってはとても重要ですが、どちらの調査を先にするべきか、優先するべきか、は自社が抱える課題や状況に合わせて検討していくのが良いでしょう。

 

 

競合調査を自社で行う際に使えるフレームワーク|自社分析編

競合調査を行う重要性やメリットについてはご理解いただけたかと思いますが、いきなり競合調査をしよう!となってもなかなか何をどうしていいのかわかりにくいと思います。

 

そんなときに便利なのがフレームワークです。フレームワークを使えば、論理的に考えをまとめやすくなりますし、抜け漏れを防ぐことができます。ここでは、競合調査に欠かせない自社分析を行う際に使えるフレームワークについてご紹介しますね。

 

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、一つの事業を細分化して、強みや付加価値を出している工程を分析し、競争優位性を見出すためのフレームワークです。

 

少し詳しく言えば、事業には原材料の調達に始まり、商品の製造、出荷、販売、サービスの提供というビジネスの流れがあり、これを、価値の連鎖として分析し、それぞれの過程で加わっていく価値に着目して分析を進めていく方法です。

 

このバリューチェーン分析のフレームワークによって、自社の強みや弱みを分析することができます。

 

大まかなやり方としては以下の通りです。

 

✓自社のバリューチェーンを洗い出す

企画・開発、原料調達、製造、出荷、宣伝、販売など事業に関わるすべての活動を機能別に分類し、図式にして視覚化します。これにより自社にどのようなバリューチェーンがあり、競争の優位性もしくは劣位性があるのかを分析していきます。

 

✓コストを分析する

それぞれの活動ごとのコストを出して収益性やコストを明確に把握し、分析に役立てます。

 

✓強みと弱みを分析する

 

✓ VRIO分析を行う

(「VRIO」とは、Value(価値)・Rareness(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)の頭文字を組み合わせたもので、この4つのテーマごとにそれぞれの活動の強みを分析していきます。たとえば、希少性が高い場合は特別感を強調してアピールしていくことで競争優位性を高めるポイントとなっていきます。)

 

SWOT分析

SWOT分析は、自社の外部環境と内部環境をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素で要因分析することで、経営戦略を練りやすくするためのフレームワークです。

 

外部環境とは、競合や法律、市場トレンドといった自社を取り巻く環境のことで、内部環境とは、自社の資産やブランド力、さらには価格や品質といったものを指しています。

 

少しわかりにくい機会と脅威についてですが、機会は社会や市場の変化などにより、自社や自社商品にとってプラスに働く外部環境のプラス要素のことを指していて、脅威は社会や市場の変化などにより、自社や自社商品に悪影響を及ぼすと考えられる外部環境のマイナス要素のことを指しています。

 

SWOT分析を行うことで、既存事業の改善点を見つけられたり、新規事業の将来的なリスクを見つけられたりすることが期待できます。

 

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競合調査を自社で行う際に使えるフレームワーク|競合分析編

先ほどの章では自社分析に使えるフレームワークをご紹介しましたが、ここでは競合を探したり、競合についての分析をしたりする際に使いやすいフレームワークをご紹介していきます。

 

5フォース分析

5フォース分析は、競合や業界全体の状況と収益構造を明らかにして、その中で自社の利益の上げやすさを分析する際に使えるフレームワークです。主に、新規参入や新商品の開発、新ブランドの立ち上げ時などに使われます。

 

5フォースとは、5つの脅威という意味で、買い手の交渉力、売り手の交渉力、新規参入の脅威、代替品の脅威、競合の脅威の5つの脅威について洗い出し、分析を行っていきます。

 

この5つの要素はいずれも自社をとりまく外部からの脅威であり、収益に直結する要素です。そのため、収益性を上下させる要因となる点を掘り下げ、「新規参入で収益性が見込めるのか」「どうすれば収益性を確保できるか」という結論に向かって分析を進めていきます。

 

 

4CC分析

4CC分析は、商品やサービス、施策のどのような点がユーザーからの価値につながっているのかを分析する際に使えるフレームワークです。

 

4CCのCCは、CustomerCustomer(顧客価値)、CostCost(時間のコスト、金銭的なコスト、心理的負担)、ConvenienceConvenience(利便性や購入のしやすさ)、Communication(ユーザーと企業とのコミュニケーション)の頭文字を取っています。

 

競合の商品やサービスについて、ユーザーの立場から分析することによって、自社商品との機能面や特徴の違いからではなく、ユーザー目線でどの要素が受け入れられているのか、どの点が優位性となっているのか、といった視点で分析することができます。

 

こちらは競合に対しての分析方法として使えますが、もちろん、自社の商品やサービスについても4C分析は効果的に使えますので、ぜひ自社商品やサービスのメリットや訴求ポイントの見直しにも活用してみてください。

 

 

3CC分析

3CC分析は、顧客のペルソナやニーズを考えたうえで、顧客に受け入れられやすいサービスや商品を提案していくうえで使いやすいフレームワークです。

 

他社と顧客ニーズを分析した上で、自社の訴求ポイントや優位性を考える際にとても有効です。

 

3CCとは顧客(CustomerCustomer)、競合(Competitor)、自社(CompanyCompany)の頭文字を取っています。外部要因である顧客と競合、そして内部要因である自社をそれぞれ分析して照らし合わせると、何が自社の強みであり、弱みなのかが一目瞭然となりますので、経営戦略も立てやすくなっていきます。

 

なお、ご紹介したフレームワークはそれぞれ単品で使うこともできますが、他のフレームワークと組み合わせて使っていくことで、より詳細な分析ができますし、戦略を考える上での視点も増えていきますのでより効果が見込めます。

 

 

競合調査を効果的に行うなら外注も視野に入れるべき

競合調査の重要性は理解できたし、ぜひ競合調査を実践したい!と考えていても、なかなか自社で一から行うというのは時間と労力的にも厳しいものがありますよね。

 

競合調査に使えるフレームワークも、やり方は理解できたものの、実際に自社で対応できるかというとその時間が取れない…とお困りの方もいらっしゃるでしょう。

 

また、慣れていない人がいきなり競合調査を行っても初動に時間がかかってしまい、とても効率的とは言えませんし、期待する結果を出せるかというとその保証もありません。

 

そんなときは、外注してプロに任せてしまうというのも賢い選択肢と言えます。競合調査はやることに意味があるのではなく、調査した結果をいかにして自社の戦略に生かしていくのかという点が重要なため、プロに委託してしまうほうが良い結果を得られることも多いのです。

 

競合調査を依頼できる外注先

競合調査はプロに外注するのもアリだとお伝えしましたが、ここでは、どのような会社に依頼すれば競合調査を行ってくれるのか、外部に委託する選択肢についてご紹介していきます。

 

 

コンサルティング会社

競合調査を依頼する先として、コンサルティング会社が挙げられます。コンサルティング会社と一言で言っても、経営コンサル、採用コンサル、マーケティングコンサルなど様々あります。

 

コンサルティング会社が競合調査を行うのは経営戦略を立てる一貫として実施を引き受けてくれる場合が多いです。競合調査を行うだけでなく、今後の経営方針や戦略についても提案してくれるので、かなり頼れる存在ではありますが、その分費用が高くついてしまうというデメリットもあります。

 

費用相場としては、一般的に月々、数十万円~数百万円かかるケースが多いです。

 

フリーランス

コンサルティング会社に依頼する場合、月々の費用が数十万円~数百万円かかってしまうことが多いため、中小企業やスタートアップ企業にとってはなかなか手が出しにくいところでしょう。

 

その場合は、フリーランスに委託することで費用を抑えることができます。クラウドソーシングなどで、個人で活動しているフリーランスのコンサルタントやマーケターを探して発注をすれば、予算が厳しい企業でも依頼ができる場合も多いです。

 

費用相場も、月数万円~十万円前後で依頼できるケースが多いようです。

 

ただ、フリーランスに依頼する場合、個人の力量に大きく左右されますので、期待していた結果が得られず、「安物買いの銭失い」になってしまうリスクはあります。フリーランスに依頼する場合は、その人が信頼できるのか、実績はあるのか、依頼する前に調べておくことが重要です。

 

調査専門会社

競合調査を委託する場合、最もお勧めなのは調査専門の調査会社に依頼する方法です。競合が行っている営業方法や、社内の体制、営業利益など、その会社で働く人しか知り得ないような情報も収集してくれますので、戦略を立てる際にかなり効力を発揮できるでしょう。

 

さらに、覆面調査やネットリサーチなど、独自の方法で調査を行ってくれますので、依頼する価値はかなり高いと言えます。

 

費用相場は、調査項目の数や対象方法、調査対象の企業数などによって変わってきますし、かかる日数でも大きく変動しますので、まずは気になる調査会社に見積もりをもらうことをお勧めします。

 

 

まとめ

競合調査は自社の強みを知る意味でも、今後の戦略を立てて競合との差別化を図っていく意味でもとても重要性の高い調査です。

 

ただ、実際に調査を行うとなると、知識や経験も必要になりますし、時間と労力が想像以上にかかってしまうこともあります。

 

そんなときは、競合調査の外注も検討してみると良いでしょう。見積もりだけであれば無料で出してくれるところも多いので、話だけでも聞いてみると良いですね。