中小企業こそ競合調査を実施すべき!競合調査を行う意味と4つの視点

KW中小企業は、日本の全企業数のうち99.7%を占めていて、私たちの生活になくてはならないモノを作り出していたり、サービスの提供を行っていてくれたりしています。

 

また、中小企業の中には、世界市場の獲得につながる先端技術の活用をしている会社も多く、日本を元気にする原動力と言えます。

 

そんな日本の経済にとって欠かせない中小企業ですが、競合との戦いに負けてしまい経営が悪化して会社を倒産せざるを得ない状況に追い込まれてしまうことも少なくありません。特に、新型コロナウイルスの影響や物価の高騰などのダメージもあり、他の企業との差別化を上手に図っていかなければ生き残れる可能性を狭めてしまうことになるでしょう。

 

中小企業こそ、競合との差別化をうまく図っていくことが必要不可欠なのです。そして、競合との差別化を効果的かつ効率的に図っていくために欠かせないのが競合調査です。競合調査を行うことで、他社の強みや弱みを把握し、自社の強みに生かしていくことや新しい付加価値を見出すことができるようになります。

 

つまり、企業として生き残っていくうえで意味の大きな対策が競合調査なのです。そこで今回は、中小企業で競合調査を行う際に持っておくべき4つの視点や、競合調査による効果を高めるため実施前に知っておいてほしいこと、そして時間と労力の節約のために外注することの必要性や外注する際のポイントについても詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

競合調査を始める前に知っておいてほしいこと

競合調査は、ただやるだけでは意味がありません。よく「競合調査をしたという事実だけで満足してしまい、そこから何も得られていない」という状態に陥ってしまっている会社様を見かけますが、それではもったいないです。

 

競合調査は、競合について調べ上げた結果、自社が打ち出すべき魅力や強み、今後の方針を見出していける手段であって、それ自体が目的になってはいけないのです。

 

競合調査をする時間や労力、お金を無駄にしないために、調査を始める前に知っておくべき事をまとめておきたいと思います。

 

データを集めるだけで満足してはいけない

競合調査を始め、何かの調査をするとなると、どうしても必要になるのがデータ集めや情報集めです。もちろん、これらの過程は調査において必要不可欠であることには間違いないのですが、調査を進めていく中で、「データをたくさん集めること」に満足してしまい、それが目的になっていってしまいがちです。

 

しかし、データはあくまでも調査における手段であって、データ集めだけで満足しては意味がありません。

 

さらに、競合企業がホームページやインターネットなどで発信している情報や、競合企業の事が書かれている新聞、雑誌などの情報を集めていってもそれは所詮誰でも見ることができるものですし、基本的な情報しか載っていません。

 

そのため、ただ単にデータや情報を集めるのではなく、もっと踏み込んだ価値のあるデータを集めていく必要があるのです。

 

そのためには、しっかりと調査の意味や目的を全員が把握した状態でデータ収集を行ったり、仮説を立てて調査にあたったりすることが必要になります。

 

競合調査は長期的・断続的に行ってこそ意味がある

競合調査をしたことがない会社からしてみれば、「競合調査は一回やればいいでしょ?」という感覚があるかもしれませんが、競合調査は長期的かつ継続して行うのが最も効力を発揮します。

 

短期間に単発で競合調査を行ってもある程度の自社の課題や弱みを見つけることはできますし、競合の弱点もある程度は見つけることができると思いますが、根本的な課題まで見つけられるかと言えば必ずしもそうとは言い切れません。

 

継続的に競合調査を行うことで、日々自社の課題の発見に繋がりますし、競合企業の強みや弱み、今後するであろう取り組みについても把握することができます。

 

競合調査は無理のない範囲で長期的かつ継続して行っていくことが重要なのです。

 

調査対象は今見えている競合だけではない

競合調査というと、どうしても今意識している競合企業について調べつくしたくなりますが、調査対象は今見えている競合だけでは不十分です。

 

競合調査においては、今の競争相手・新規の参入者・代替品・自社・顧客、この全てが調査の対象となります。

 

たとえば、コーヒーを例にとって考えてみましょう。コーヒーショップや喫茶店は、競合調査をしようとなったときに同じようにお店でコーヒーを出している競合を調査対象にすると思いますが、最近ではコンビニでもかなり本格的な挽きたてコーヒーを販売するようになっています。

 

つまり「新規の参入者」についても調査していかなければ、同じようなコーヒーショップの競合共々新規参入者に食いつぶされてしまう可能性があるのです。

 

さらに、あなたの会社が国内にとどまらず世界にまで進出しているような会社もしくは今後海外進出を考えている会社であるならば、その国々の文化や政治、景気や消費者の動きまで調査対象が広がっていくことになります。

 

だからと言って、これら全てを事細かに調べなければならないのかというと、そうではありません。すべてを完璧に調査してしまうと、時間とリソースがどれだけあっても足りません。実際に調査を行う際は、自社が行える範囲で調査対象の重要性などを考えながら優先順位をつけ、できるものから順番に調査をしていくようにしましょう。

 

競合調査を行うときの4つの視点

ここからは、実際に競合調査を行うとなった場合、どのような観点から調査をすればいいのか、どのような切り口で調査すれば求めている結果が手に入るのかを具体的に見ていきましょう。

 

 

ビジネスモデル全体を調査する

通常、競合企業だと思う会社は、自社と似た商品やサービスを提供していて、その提供の仕方をいかに上手くやるかが売り上げや業績につながることが一般的です。

 

しかし時として競合や新しく業界に参入してきた企業が、恐らく自社の顧客を奪っていることは確かだが、具体的にどのような商品やサービスを提供しているのか、どのように販売しているのか、どのように顧客に宣伝しているのか、などがはっきりとわからないという場合があります。

 

そのような場合、そもそもビジネスモデル全体が自社とは画期的に異なっている場合があります。そのため、自社の顧客を奪っているものの全体像がよくわからない競合に対してはビジネスモデル全体の調査を主眼において競合調査を行うことが大切です。

 

 

商品やサービスを調査する

競合と認識している会社は、自社と同じような商品やサービスを提供していることが多いのですが、似ているはずの商品やサービスを提供しているにもかかわらず、なぜかいつの間に競合に差をつけられている、競合ばかりが顧客に選ばれているということもありますよね。

 

直接顧客がターゲットになるBtoCと呼ばれる会社(自動車販売会社や電化製品の会社、化粧品会社など)であれば、競合の商品を実際に購入して、使ってみたり、分解してみたりということは多くの会社ですでに行っているかと思いますが、BtoBと呼ばれる会社(製品の部品を作る会社など)では、どうしても主観が入ってしまいそのような調査がうまくいかないことが多いです。

 

このような場合は、専門の調査会社に依頼して競合の商品について詳しく調査してもらい、情報収集をすることが必要になるでしょう。また、ホテルや結婚式場などのようななかなか自社の社員では潜入するのが難しい会社のサービスなども専門の調査会社に依頼したほうがスムーズに情報が集まるはずです。

 

 

商流を調査する

商品を製造して販売する際、通常は原料を仕入れて、製造工場で製造し、そこから顧客に届けるという流れになりますよね。

 

さらに、自動車や電化製品など消耗するものかつ高額なものである場合には、保守や修理などのアフターサービス対応も必要とされます。

 

仕入れ、製造、販売、アフターサービスという商流自体にビジネスの成功の鍵が隠されていることも珍しくありません。商流の円滑さやそこにかかるコストが商品そのものの価格にも影響しますし、顧客の満足度、さらには売れ行き、利益率など全体的に関わってきますので、競合調査を行う際も商流について重点的に調査することが有益な場合も多いです。

 

 

コスト構造を調査する

商品の性質上、差別化が難しいケースもありますよね。差別化の難しい商品を取り扱っている企業の場合、競合に勝つためには他より魅力的な価格設定、つまり安く売ることが必要になることも多いでしょう。

 

商品を顧客に売るまでの間に、材料や生産のためのコストがかかりますし、流通のためのコスト、販売のための費用、人件費などあらゆる面で費用が発生してきます。

 

もしこれらのコストを引き下げることができれば、商品やサービスの価格を下げて競合と差別化を図ることができますし、広告や人員確保など他の面にコストをかけることができます。

 

コストをどこにどれだけかけるのかは、各会社でのバランスが一番大切ではありますが、競合他社のコスト構造がわかれば、競合より優位に立ち差別化を図るうえで大きなヒントになるでしょう。

 

 

競合調査を外部に任せる際のポイント

中小企業が他の競合と差別化を図り、自社をより優位に持っていくためには、競合調査を行うことがとても有効であることは繰り返しお伝えしていますが、実際問題として、自社内で競合調査を行うには人的リソースも必要ですし、時間も労力も想像以上にかかってしまいます。

 

また、競合調査を初めて実施する会社だと、何をどのようにすればいいのか、何から始めればいいのか初動に時間がかかりすぎてしまうので、効率的ではありません。

 

そのような場合は、思い切って外部に委託する方法がお勧めです。もちろん費用はかかりますが、ポイントを抑えれば費用はある程度抑えることができますし、プロの調査結果を活用すれば業績アップにつなげられるため、すぐにペイすることができるでしょう。

 

ここでは、競合調査を外部に委託する際のポイントについて押さえていきましょう。

 

競合調査を依頼する目的を明確にして伝える

競合調査と一言で言っても、依頼する会社や状況、会社のステージによって様々です。なぜ競合調査をしようと考えたのかの目的が異なれば、当然調査の内容も調査項目も調査にかける時間も変わってきます。

 

そのため、競合調査を外部に委託する場合は、調査を実施する目的を明確にしたうえで、外注先にその目的をしっかりと伝えてすり合わせてから依頼する必要があります。

 

また、どこからどこまでの調査を依頼するのかという範囲も明確にしておかなければなりません。依頼する範囲が曖昧だとすでに自社で調査済みで不要なはずなのに調査項目として追加されていて予算をオーバーしてしまったり、逆に、必要な調査項目なのに省かれてしまっていて後から追加費用がかかったりと想定外の事態を招いてしまいます。

 

事前にどこまでの調査を自社で行い、どこからの作業を外部に委託するのかを明確にし、それをしっかりと外注先に伝えるようにしてください。

 

調査する期間をあらかじめ決めておく

競合調査を行う目的によって、調査にかかる時間が異なってきますので、依頼する際にあらかじめ調査にかける期間を決めておくと良いでしょう。

 

期間を決めておかないと、ダラダラと調査が続いて余分な費用が発生してしまいます。ただ、調査期間については「1か月で結果を出してください」と要求しても、プロの目線から見て無理難題なこともありますので、どのような目的で、どのような結果が欲しいのかも含めて依頼前に相談しておくと良いですね。

 

調査する競合を絞り込んでおく

はじめて競合調査を行うとなった場合、調査する対象の競合会社が多ければ多いほどたくさんのデータが集まってより良い情報が手に入ると思ってしまいがちですが、たくさんの競合を調べればいいかというとそういうわけではありません。

 

目的に応じた視点で調べる企業を決め、その絞られた企業について徹底的に調査したほうが良い結果を得られることの方が多いです。

 

そのため、調査を外部に依頼する前に、調査する競合の目星をつけておくことも大切です。すべてを丸投げしてしまったり、曖昧に依頼してしまったりすると、調査対象を無駄に広げて無駄なコストがかかりますし、不要な情報も多くなり分析に余計な手間がかかってしまいます。

 

調査費用を予算内に抑え、効率よく分析を進めるためにも、調査する競合会社を3~5、6社に絞り込んだうえで、外注先に依頼するのがお勧めです。

 

 

まとめ|外部に委託するなら予算と目的に応じて外注先を決めよう

中小企業が生き残っていくためには、自社の強みと弱みを明確に把握し、競合とうまく差別化を図っていくことが重要です。そのためにも、競合調査を定期的に行うことは極めて意味のあることです。

 

ただ、中小企業は少数精鋭で事業を運営していることが多いため、なかなか競合調査にまで人手を回すことは難しいのが現状だと思います。その場合は、外部への委託を検討することをお勧めします。

 

外部への委託としては、競合調査代行会社やコンサルティング会社、フリーランス、調査専門会社など様々な選択肢があります。

 

コンサルティング会社は徹底した調査と定期的にコンサルティングで経営のアドバイスをしてくれるというメリットはありますが、調査費用に加えて毎月数十万~数百万のコンサルティング費用がかかります。

 

フリーランスは費用は安く抑えられますが、実力的な面で不安があります。

 

調査の専門会社や調査代行会社は費用も相場通りで実績もある程度信頼できることが多いです。あとは経営者と委託先の担当者との相性も関わってくるでしょう。

 

外注する際は、その会社や個人が今までにどのような実績を出しているのか、費用はいくらでできるのか、担当者は信頼できそうなのかなど詳しく事前に相談したうえで慎重に決めることが大切です。