ライバル関係にある企業や同業者からの嫌がらせは、個人的な恨みによる嫌がらせよりも実害が出てしまうケースが多いです。 ライバル会社はあなたの会社の売り上げを落として自分の会社の売り上げを上げようとしているため、金銭的な被害を大きくしようとする嫌がらせをしてくるでしょう。
最悪のケースでは、ライバル会社からの嫌がらせによって倒産まで追い込まれてしまう企業も存在します。 そこで今回は、嫌がらせや営業妨害を辞めさせて法的措置を取るための手段や、嫌がらせに対してどのような法的措置を取れるのか、詳しく見ていきます。
ライバル会社・同業者からの嫌がらせのよくあるパターン
ライバル会社・同業者からの嫌がらせにはどのようなパターンがあるのでしょうか。ここではよくあるパターンについて見ていきますので、もし現在あなたの会社がされている嫌がらせが該当していればすぐに対処するべきケースとお考え下さい。
インターネット上やSNSで誹謗中傷を書き込まれる
最近ではインターネット上やSNSでの嫌がらせや風評被害の書き込み被害が増えています。SNSは若者に限らず多くの人が利用しているため、一度誹謗中傷や風評被害が広まってしまうとどんどん実害も広がってしまいます。
また、お店などに対して口コミサイトで☆1つなどの低評価をつける嫌がらせは誰でも簡単にできてしまうために増えていて、その影響は思っている以上に深刻なのです。 さらに、インターネット広告(リスティング広告など)であえて不正にクリックして相手企業の広告費を無駄に使わせるという嫌がらせも出てきています。
どの嫌がらせも、解決して犯人を訴えるためには犯人を特定して証拠を集めることが必要不可欠です。また、法的手続きを踏めばプロバイダやサイトの管理人への発信者情報開示請求を行い、誹謗中傷の内容の書き込みをした犯人を特定することも可能となります。
企業スパイによる情報漏洩をされる
「ライバル会社になぜかいつもアイディアを先越されてしまう」
「同業者に自社の重要な情報が漏れてしまっている」
など、不可解なことは起きていませんか?
そのような場合は、もしかしたら社内の情報がなんらかの理由で漏れているのかもしれません。情報が漏れてしまうと、企業経営の妨げとなるばかりではなく、企業のダメージダウンや信頼墜落に関わることも予想されますので、早急に対応をとるべきです。 企業スパイが潜り込んでいないか、ライバル会社からハッキングをされていないかなどを専門機関に依頼して調査してもらうことが必要になります。
裁判で訴えることを考えるのであれば、法的に認められる決定的な証拠を集めるために探偵事務所に依頼することをお勧めします。
自社の有能な社員を引き抜かれる
ライバル会社からされる嫌がらせとして、自社の優秀な社員を次々引き抜かれるというケースもあります。
最近では、SNSなどを使って自社の社員にアプローチしてきて、収入や待遇を下調べし、それ以上の条件を提示して引き抜こうとします。 特に、重要なポストについている社員や、売り上げトップの営業マンが引き抜かれてしまうと会社経営にも大きなダメージを与えられますので、そのような人物がいきなり会社を辞めてライバル会社に転職した場合は、意図的な嫌がらせの可能性も高いと考えたほうがいいでしょう。
店舗に直接嫌がらせを受ける
飲食店や美容院などの店舗をかまえている会社の場合は店舗に直接嫌がらせをされるケースもあります。 口コミや張り紙をすることで悪評を流すことはもちろんですが、閉店したと嘘の情報をインターネット上に流されることもあります。
また、繁忙期などに嘘の予約を大量にして当日に一気にキャンセルするという悪質な嫌がらせもあります。繁忙期に予約分で本来のお客様の予約を断っているような場合では、かなりの損害が出てしまうことが考えられます。
社内情報や社内データの漏洩がコロナで増えている!?
新型コロナウイルスで世間が騒がしくなってから、当事務所にも社内データの漏洩のご相談が増えてきているように感じます。 コロナ禍により在宅勤務が増えてきていますし、会社ではなくカフェなどで仕事する人が増加しているため、情報漏えいの危険は以前よりも高くなっているのです。
考えたくないことだとは思いますが、情報漏洩をしている犯人は自社の社員や退職した元社員であることが多く、社内ネットワークやデータファイルへのアクセス権限を持つ、もしくは持っていた人物が怪しいと考えたほうがいいでしょう。
テレワークが増えることで、データの持ち出しのチェックが甘くなってしまう企業が多いので、以前よりも注意する必要があるのです。 情報漏洩をそのまま放置してしまうと、ビジネスモデルやマーケティング戦略がどんどんライバル会社に漏れてしまいますので、早めに漏洩についてのチェックを行い、セキュリティを見直すべきだと言えます。
ライバル会社や同業者からの嫌がらせを解決するためには
ライバル会社や同業者からの嫌がらせや営業妨害はできるだけ早めに解決したいですよね。 相手は個人的な恨みを持って嫌がらせをしているというよりは、自分の会社の利益を上げたいという思いが強いため、しっかりと法的に有効な証拠をそろえて法的手段をとれば、比較的穏便に解決できるケースが多いです。
犯人特定のための証拠を集める
法的措置を取るために欠かせないのが犯人の特定と確たる証拠です。自分でも集めることができるものもありますが、法的措置を取るうえでは法的に有効な証拠でなければいけません。
せっかく証拠を集めたと思ったのに、すべて使えないとなってしまえば、証拠集めにかけた時間も労力も無駄になってしまいます。どんな証拠が有効か、どうやって集めてどのような状態で保存すればいいかなどをプロの探偵に相談して進めるのがベストです。
具体的な証拠の例としては
・犯人の犯行に関係する会話の録音データ
・嫌がらせの張り紙をする様子を収めた動画
・犯人が残していった嫌がらせの張り紙の現物
・犯人が壊したものや落としていったもの
・関係者による目撃情報などの証言
・ネットの嫌がらせをしている発信者情報
などが挙げられます。
このような証拠は素人ではなかなか集めるのが困難だと思いますので、専門家の手を借りながら着実に集めていきましょう。
民事裁判や示談を検討する
嫌がらせの犯人を特定でき、法的な証拠が集まれば、民事裁判や示談という法的措置をとることができるようになります。 民事裁判は、当事者同士が起きてしまったトラブルを法に則って解決するための手段であり、双方の合意がなくても判決は下されます。解決方法としては強力なものだと考えていいでしょう。
一方で示談は弁護士など法律の専門家を間にいれてトラブルについて話し合い、お互いの合意のもとに解決を目指すものです。合意が取れれば示談書を作成し、示談書の通りに行動します。
あまり事を大げさにしたくない場合や、ライバル会社と今後も関わりがあるかもしれない場合は、示談で済ませたほうがいいかもしれません。 どちらの手段を取るべきなのかは弁護士に相談しながら決めていくといいですね。
刑事裁判という手段もある
嫌がらせの対処法としては民事裁判や示談のほうがスムーズにできるのですが、あまりにもひどい犯罪行為があれば、刑事事件として刑事裁判を起こすこともできます。
また、相手が示談を拒否する場合なども刑事裁判として訴えることもできます。 刑事罰としては、名誉毀損罪や業務妨害罪、器物損壊罪などがありますが、いずれにしても、確固たる証拠が必要になってきます。
刑事裁判では、警察や検察官の判断なども関わってくるため、示談での証拠より強力な証拠が求められるのです。 刑事罰で訴えるのか、民事裁判や示談で済ませるのかの判断に迷ったら弁護士に相談して決めていくのがお勧めです。
民事裁判や示談の具体的な方法について
民事裁判や示談をする方向で決まったら、どのような法律を適用していけばいいか弁護士などと相談しながら決めていきましょう。
不正競争防止法違反
不正競争防止法とは企業間の公正な競争を維持するための法律で、この不正競争防止法に違反していることが認められれば、損害賠償など様々な法的措置を言い渡すことができるようになります。
インターネット上で不正な口コミを書き込んだ場合や、許可なく同じような商品を作って売った場合、不正にライバル会社の情報を盗んだ場合などは不正競争防止法に違反すると認められる可能性が高いです。 嫌がらせを辞めさせるだけでなく、受けた損害を補償してもらえるメリットがあります。
損害賠償請求
嫌がらせの内容や程度・頻度によっては不正競争防止法が適用されない場合もありますが、その場合であっても、嫌がらせと営業妨害との因果関係が証明できれば、損害賠償請求は可能になります。 ただし、この場合も犯人の特定やその証拠、損害に関する記録と証拠などが必要となります。
示談書の作成
示談書は示談での取り決めを文書化したものでお互いの合意の証明ができるものです。ただし、示談書はそのままでは「当事者同士でこのような合意に至りました」という証明でしかなく、法的拘束力が弱いです。 執行力を持たせるには、示談書の公正証書化が必要になりますので、そちらも合わせて弁護士に依頼するといいでしょう。
まとめ|嫌がらせの証拠集めはプロの探偵に依頼する
ライバル会社からの嫌がらせは、放っておくと会社の評判を下げられるだけではなく、優秀な社員の引き抜きや売り上げ低下の事態を招いてしまう恐れがあります。
嫌がらせを受けていることに気が付いたら、すぐに犯人特定のための行動を起こしましょう。そして、犯人の特定と証拠集めについてはプロの探偵に依頼するのがベストです。
ライバル会社が業界内で強力な人脈を持っているような場合、証拠もなく闘おうとすると逆にこちらが悪者にされてしまう恐れもあります。 法的に有効な証拠を集め、交渉のプロである弁護士に手続きを依頼すればスムーズに解決することができるでしょう。