KW「うちの店はうまいのになぜか売り上げがパッとしない」
「商品の質はたいして変わらないのになぜあの会社だけうまくいっているのだろう」
このように、競合他社と自社を比べて、なぜ自分の会社がイマイチうまくいっていないのか、頭を悩ませたことはないでしょうか。
提供している商品やサービスは特に問題なく品質もいいもののはずなのに、なぜか売り上げや集客につなげられていない・・・このように感じるのはもしかしたら競合との差別化がうまくいっていないからかもしれません。
競合との差別化ができていないと、どれだけいいものを提供していてもなかなか業績アップにつなげることは難しいでしょう。逆に言えば、差別化がうまくいけば、今よりもっと売り上げを上げることや集客を楽にすることができる可能性があります。
今回は、競合との差別化を図るうえで考えるべき軸や、競合との差別化を成功させるためのポイントについてわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
差別化戦略?差別化の意味と企業にとっての必要性
「差別化戦略」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、差別化戦略とは、その名の通り、製品やサービスを差別化することによって競争優位性を構築する経営手法のことです。
ここでは、手始めに差別化についての意味や必要性、メリットなどを少し詳しく確認していきましょう。
そもそも差別化とは
たとえば、この世にコーヒーを売るお店があなたの経営しているお店たった一つしかないとしましょう。もしそうであれば、お客様がコーヒーを飲みたいと思った時、当然あなたのお店にコーヒーを買いに来るでしょう。
たとえあなたのお店のコーヒーが多少高い設定になっていても、少し味が薄かったとしても、お客様からしてみれば他にコーヒーを売っているお店がないのであなたのお店で買うしかないからです。
しかし、実際の現実世界は違いますよね。コーヒー専門店だけでもたくさんありますし、レストランで飲むこともできますし、スーパーで缶コーヒーを買うこともできます。近年はコンビニでも挽きたてのコーヒーを買うことができます。つまり、コーヒーをどこで買うのかという選択肢が多すぎるため、自分のお店のコーヒーを買ってもらうためには、他との差別化をすることが必要不可欠になっているのです。
つまり、差別化とは企業が自分の会社の製品やサービスに、競合の商品やサービスにはないような機能やサービスを付加することであり、それによって競合よりも優位性を示すことで、お客様に商品やサービスを選んでもらいやすくするための戦略、と読み取ることができます。
競合と差別化を図るメリット
企業が競合と差別化を図ることには大きく分けて2つのメリットがあります。1つは競合との価格競争を避けることができるということ、もう一つはブランディングができるということです。
価格競争についてですが、他のサービスや商品と違いがなければ、当然お客様は安い方を選ぶでしょう。あなたが選ぶ側になっても安い方を選ぼうとするはずです。そのため、他との差別化ができていなければ、より安く商品やサービスを提出しなければならなくなり、売り上げを上げるどころか、どんどん会社の経営が厳しくなるでしょう。
しかし、差別化によって自社の製品やサービスの優位性が示せれば、競合と価格競争を行う必要がありません。価格以外での価値を見出してもらえているわけですから、多少高くても売れるからです。
たとえば、スターバックスコーヒーを思い出してください。同じ「コーヒー」という点で見れば、自販機やスーパーで買うと100円ちょっとで買えるにもかかわらず、皆さん500円近く払ってスターバックスでコーヒーを飲みますよね。これは、コーヒーの味はさることながら、お店の雰囲気、店内の居心地の良さ、パッケージのセンス、スタッフの対応など様々な点で他との優位性を示せているからこそ、値段で勝負する必要がなくなっているのです。
もう一つのブランディングについても、差別化をすることの大きなメリットと言えます。競合と差別化をすることでブランディングができれば、お客様に認知されやすくなり、市場における競争力が高まります。
「●●といえば〇〇会社」などとイメージが定着すれば、高額な広告費用かけなくても自然とお客様に選ばれるようになります。
競合と差別化を図る上での大きな軸
競合と差別化を図ることはあらゆる面でメリットがあり、企業として存続していくうえでとても重要なことですが、いざ自分の会社で差別化を図ろうと思っても、どこから手を付けていいかわからないことも多いと思います。
そこで、差別化をする上での大きな軸について解説していきますので、自分の会社で行うのであればどのような方向性で差別化をしていくべきか考えてみてくださいね。
ブランドイメージで差別化する
1つ目は、ブランドイメージでの差別化です。自社ブランドに対するイメージに確固たる優位性を持たせることで差別化していきます。
他のブランドとは異なる世界観をつくったり、ブランドのストーリーをつくりあげて発信していったり、広告クリエイティブのイメージを統一させたりなどの戦略があります。
先ほども例に出したスターバックスコーヒーもブランドイメージの差別化に成功した会社の一つです。
スターバックスコーヒーは、それまで「喫茶店は男性が利用するもの」という従来の喫茶店のイメージを覆し、女性に愛される「スタバ空間」を作り出すことによって差別化を図り、成功を収めました。
喫茶店でもなく、他のカフェでもない新しいブランドイメージを作り出すことに成功したのです。
製品で差別化する
続いての差別化の軸は製品での差別化です。競合他社とは全く違う優位性と特異性のある製品を作り出すことで、差別化を図っていきます。
今までに無いような斬新なデザインの製品を作ったり、機能面で他社が真似できないような仕様にしたり、市場にない全く新しい製品を世に送り出したりなどで差別化をすることができます。
アップル社のアイフォンがまさに製品での差別化を行いました。これまでにない全く新しい斬新な製品を作り出すことで、携帯会社だけでなくあらゆる業界において圧倒的な地位を築いています。
サービスで差別化する
お客様にとって魅力的なサービスで競合と差別化を図る方法もあります。
全従業員が企業理念を理解して仕事にあたれるような職場環境を作ったり、他社にはない付加価値となるサービスを設計したり、一スタッフがまるで経営者のようにお客様のことを考えられるよう教育を行っていったりとサービスでの差別化を徹底するにはかなりの労力が必要になりますが、成功すればとてつもない威力のブランディングになるでしょう。
サービスでの差別化に成功した会社としては、やはりディズニーランドやディズニーシーを運営するオリエンタルランドが筆頭に浮かんできます。
ディズニーランドができるまで、遊園地はただのジェットコースターなどが配置されていて、子供たちが遊ぶための空間でした。しかし、ディズニーでは全てのゲストをVIPとしておもてなしするポリシーに基づき、ホスピタリティの高い顧客サービスで来場者を満足させ、本来子供の遊び場であるはずの遊園地を大人も心の底から楽しめる場所に変えていったのです。
ディズニーがテーマパーク業界で圧倒的で揺らがない地位にいるのは、顧客サービスにおける差別化を徹底できたことが大きな要因と言えるのです。
競合との差別化を成功させるためのポイント
売り上げや業績をアップさせるためには、競合との差別化を徹底して効率よく行っていくことが重要ですが、差別化を成功させるうえで重要なポイントがいくつかあります。
ここでは、差別化を成功させるポイントをご紹介していきますので、競合を圧倒するような製品やサービスを作りたいという経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
自社を分析して強みを見つける
競合との差別化を行い、的確に優位性を示していくためには、まず自社の分析から始めることが大切です。自社が持つ強みを把握し、それを徹底的に伸ばして顧客に積極的にアピールし続けることで、特異性と優位性を持った差別化を図ることができます。
「自社の強みなんて分析しなくてもわかっている」という声も聞こえてきそうですが、案外自社の強みは完璧に把握できていないことが多いです。
というのも「自社はこうありたい」という理想の像を強みだと勘違いしていて、本当の強みを見逃してしまっている会社が多いのです。理想像やあるべき姿を目指すあまり、本来の自社の姿や強みを見失ってしまう会社は少なくありません。
だからこそ、競合との差別化を図る上で、まず自社の商品やサービスの分析を行い、自社のアピールポイントや特性をさまざまな視点から徹底的に洗い出すことが重要なのです。
自社の分析をスムーズに進め、抜け漏れなく強みを見出す分析を行うためには、「商品」「サービス」「値段」「歴史」などいくつかの項目別に分析を進めることがポイントです。
競合の強みと弱みを把握する
自社の分析ができたら、同じ業界の競合についての強みや弱みも分析して洗い出していきましょう。競合他社の商品やサービス内容、価格、広告戦略、プロモーション内容、販売経路など、ありとあらゆることを調べていきます。
ここではあらゆる項目をできるだけ抜け漏れのないように進めていくことがポイントです。
競合の強みと弱みを調べつくすことで、競合他社とは違う自社の強みを打ち出すヒントを得ることができるでしょう。競合の特徴を掴んだうえで、どこがより一層自社の強みになりえるか、競合他社にないものはなにか、を見つけ出していきましょう。
顧客のニーズを分析し把握する
続いては顧客のニーズをリサーチしていきます。顧客が商品やサービスに対して何を求めているのかを理解できれば、自社が今後どのような価値を提供していくべきなのかの判断ができます。
顧客ニーズの分析は、顧客がどのような判断基準で競合と自社を比較しているのか、最終的にはどのような理由で自社もしくは他者を選んでいるのか、顧客が重視している価値は何か、などあらゆる視点から分析を進めていかなければなりません。
顧客ニーズを分析し把握する際のポイントは、自社目線ではなく顧客の目線で行うことです。これは言葉以上に難しいことで、差別化を行う上で最も難易度が高いステップと言われています。顧客ニーズの把握の方法にはいろいろありますが、直接アンケート調査を行うなど顧客からの声をしっかりと確認することも大切です。そして、表面的な部分だけでなく顧客の深層心理まで調査するように心がけてください。
顧客自身が気付かないような隠れたニーズを見つけ出すことで、より効果的に集客ができるようになりますし、競合にはまねできない優位性を見出し差別化を行うことができるようになるでしょう。
ターゲット層とコンセプトを設定する
自社、競合、顧客の分析が終わったら、いよいよ大詰めの差別化戦略になります。より詳細なターゲット層の設定とコンセプトを決めて顧客の共感を獲得していくのです。
ここでは、ターゲットとなる人物の人物像をできるだけ具体的に細分化し設定していくことが大切です。性別や年代はもちろん、ライフスタイルや価値観なども出来るだけ詳細に設定していくことで差別化を成功させていくことができます。
たとえば、
「3030代~4040代の女性をターゲットにした化粧品」
という設定よりも、
「3030代~4040代の育児と仕事を両立して忙しく頑張っている女性をターゲットにした化粧品」
という設定の方が差別化がうまくいきます。
より詳細にターゲット層を設定したほうが、顧客の心に刺さるコンセプトを作り出すことができますし、顧客が商品やサービスに関心を持ちやすくなるように、その製造過程や商品が生まれた経緯、自社の歴史、発案者の願いなどを、具体的なストーリーとして描くことができるようになります。
まとめ|競合との差別化は徹底的な調査が鍵を握る!
今回は、競合と差別化を図り、売り上げや業績をアップさせるために重要なポイントについてお伝えしてきました。
差別化を行う目的は、最終的には自社の強みをより生かしていくことなので、競合だけでなく顧客についても徹底的な調査が必要不可欠となります。
ただ、競合への調査も顧客への調査も、調査すべき項目がかなり多いですし、調査そのものにかかる時間と労力も膨大になってしまいます。そのため、自社内だけで行うというのは無謀なケースが多いため、ぜひ専門の調査会社に相談してみてください。
効率よく調査を進め、本当に大切な自社の強みを生かす戦略やターゲット設定、コンセプトの設定に時間を費やしていただき、競合との圧倒的な差別化を図っていきましょう。