KWお店を経営していたり、新しく店舗を立ち上げたりする際
「なぜあの店はあんなにもいつも繁盛しているのだろう」
「どうすればあんなにも儲かるのだろう」
と気になるのは当然のことです。
ぱっと見では特段安いわけでも店舗が新築なわけでも名物メニューがあるわけでもないのに、なぜかいつもお客様で溢れていて口コミの評価も高い・・・そんな店舗があれば、なぜそこまで「売れる」のか知りたいと思うでしょう。
レストランや小売店などは競合他社がたくさん存在するため、ただやみくもに営業するのではなく、他店の良いところは学んで盗み、他店が売れる理由を分析し、自店の魅力向上や改善を目指さなければ生き残るのは難しいのです。そのために、競合店調査はとても重要な調査と言えます。
今回の記事では、自社や自店が生き残るために必要不可欠な競合店調査について、その必要性や調査を行う際のポイント、調査すべき項目などについて詳しく解説していきます。
なぜ、あの店だけ「やたら」売れている!?
あなたの周りに、なぜかいつも人だかりができていて不景気をよそに常に繁盛しているお店や店舗はありませんか?
「たまたま立地が良かったんでしょ?」
「たまたま若者ウケする商品を出したんでしょ?」
「どうせすぐブームが去っていくだろう」
このように、運の要素が強くて他店が売れていると思い込もうとしているかもしれませんが、それは違います。なぜ、あの店だけやたらと売れているのかと言えば、ライバルも競合店調査をしっかりと行って、他店との差別化を図り、自店の強みを最大限に生かそうとしているからでしょう。
売れている店はほぼ間違いなく競合店調査を効果的に行っているのです。つまり、自社が競合店調査をしなければ一方的に負けてしまう可能性もあるので、だからこそなおさら競合店調査が重要だと言えるでしょう。
競合店の調査をする目的とは
自社が売れるためには、競合店調査がいかに重要であるかをお伝えしましたが、ここでは調査の目的を明確に整理しておきましょう。
お客様の比較基準を把握する
お客様にとっては、レストランもスーパーもラーメン屋も雑貨屋も美容院もすべて複数の選択肢があり、その中から自分に合っていそうなところを選んで行っています。
自分に合っているかどうかの基準は人それぞれではありますが、ある程度傾向はあるでしょう。品揃え、価格、立地、店の雰囲気、接客など、様々な項目をお客様は無意識に他の店舗と比較して最終的に利用する店を選んでいます。
競合店調査を行い、競合店を詳しく知り、自店との違いを把握することではじめて「なぜあの店だけ売れるのか」というところもわかってきます。
競合店調査することで、お客様の比較基準を明確にできれば、お客様から選ばれる店舗を作り上げることが可能になるのです。
自社・自店の課題を把握する
競合店調査は、自店や自社の商圏内にある競合店の状況を調べることですが、競合店調査を行うことで競合店について把握できるだけでなく、自社・自店の課題や魅力を把握することにもつながります。
お客様は「便利な店」「安い店」「美味しい店」「品揃えが良い店」「買い物しやすい店」「オシャレな店」のような漠然としたイメージで店舗を選んでいることが多いので、それらを明確に比較できるよう「価格」「商品数」「店舗面積」「駐車場台数」などの項目に落とし込み、客観的に比較していきます。
そのように分析していくことで「品揃えの数が負けている」「相場より価格設定が高すぎる」など、競合と比較して自社・自店の課題や改善すべき点がはっきりと見えてくるでしょう。
競合店の調査を効果的に行うためのポイント
ここでは、競合店の調査をより効率的かつ効果的に行うためのポイントについてご紹介していきます。
自社で抱える課題を洗い出す
競合店調査をより効率的に行うためには、まず自社で抱えている課題を洗い出すことから始めましょう。
もちろん、競合店調査を行い分析した結果、後から見えてくる課題があることは間違いないのですが、ただやみくもに調査を開始しても膨大な時間がかかって非効率ですので、今現段階で抱えている課題を洗い出してみてください。
例としては、流通面での課題、商品内容の課題、注力商品の課題、オペレーションの課題、人員配置の課題、などが挙げられます。
それらに関して、何がどう課題となっているのか、どう改善できたらいいと考えているのかをまとめ、それをもとに競合店調査を実施することで調査にかかる時間とコスト、労力を節約することができます。
調査対象店の選び方
競合店調査においてかなり重要になってくるのが調査対象店の選び方です。以前は商圏内にある同業種の店舗から調査対象店を選ぶのが一般的でした。
たとえば、あなたの店がスーパーであるなら同じエリアの他店舗のスーパーを競合店として調査する、という形でした。しかし、現在はドラッグストアも食品や調味料を販売していますし、コンビニでも生鮮食品を売っているところも出てきています。スーパーの経営をしていてもドラッグストアやコンビニがライバルになってきているのです。
そのため、同業種だけでなく他業種も含めて競合店を設定することが必要となります。調査対象店の選び方のポイントは自店と似ているかどうかで選ぶようにしてください。客層、品揃え、立地などが似ている店舗を選ぶことになりますが、一言で言えばコンセプトが似ている店を調査対象店として選ぶとわかりやすいでしょう。
なお、あまり調査対象店を増やしすぎても調査そのものが大変になりますし、比較項目が多くなりすぎてなんの調査がしたいのかわかりにくくなりますので、本当にお客様を奪い合っていると思われる2~3店舗ほどの競合店をメインに調査するのが効率的でしょう。調査していく中で改善したいテーマが明確になっていけば、それに合わせて調査対象店を追加すればより効果が見込めるはずです。
競合店調査を行うタイミングと頻度
調査対象店が選定できたら、次は調査を行うタイミングと頻度を決めます。調査を行うタイミングは業種によって変わりますが、売場状況が変化するタイミングで実施するのが基本です。
品揃えが急に変化しない雑貨店であれば、月に1回や週に1回で十分ですが、生鮮食品が中心の店であれば最低でも1日1回は必要ですし、より詳細に調べるのであれば開店時、昼時、夕方のピーク時など複数回にわたって調査することも効果的です。
惣菜コーナーであれば、昼時と夕方と閉店間際では品揃えや値段が大きく変化しますので、調査結果にも大きな影響が出てくるでしょう。競合店の動きが詳細に把握できれば、より自社の課題が明確となっていくはずです。
調査項目の選定
続いては、実際に競合店調査を行う調査項目について考えていきます。調査項目は大きく分けると「店舗の外」についての項目と「店舗の中」についての項目に分けられます。
店舗の外についての項目は、立地、外観、駅からのアクセス、駐車場の広さ、メインのお客様の来店手段、などです。これらの項目を調べることでお客様が店舗に来店するまでのプロセスについて把握することができます。
店舗の中についての項目は、品揃え、価格、レイアウト、内装、照明、売場づくり、混み具合、販売促進方法、サービス、接客などです。店舗内の調査によってお客様が店内で感じる魅力や利便性について把握することが期待できます。
詳しい調査項目の内容については次の章でお伝えしていきます。
調査結果を実施したい差別化ポイントとしてまとめる
競合店調査が実施できたら、調査で得られた情報をまとめて分析を行います。競合店の強みと弱みをそれぞれまとめることで、自社との違いを分析します。そして自社としてどの部分で差別化を図っていくのが効果がありそうか検討していくことができるようになるでしょう。
調査結果をもとに効率的に差別化することができれば、他店との商品やサービスの品質に差をつけて競合店よりリードすることができます。
なお、競合店との差別化ポイントを考える際の注意点として、あまり重要ではない部分で差別化を考えないようにすることです。差別化を図ることで明確に効果が出ると期待できるところを選択して差別化していきましょう。
競合店調査で実施したい調査項目
先ほど、競合店調査を実施するうえで調査項目を決める工程もとても大切だとお伝えしましたが、ここではより具体的に調査項目の内容と実施する際の注意点などをまとめていきます。
なお、競合店調査の実施段階で、もし可能であれば、平日と週末に分けてそれぞれのパターンを調査したり、春夏秋冬での時期のデータも分析したりすることで、より良いデータを収集できて分析に役立ちます。
お店の外観
お店の外観調査では、遠い場所からでも判別できるような看板や旗、のぼりがあるのかを見ていきます。
具体的には、
✓外観は綺麗か
✓駅からのアクセスや車でのアクセスはしやすいか
✓看板やのぼりは立っているか
✓周辺の店舗や施設は何があるか
✓イメージカラーやフォントは見やすいか
✓入り口にウェルカムボードなどはあるか
などです。調査の際に見るべき視点としては、入店前にお客様がどの様なイメージをお店に対して持つだろうかという点や、入店がしやすいかどうか、清潔感があるかどうかなどを重点的に調査すると良いでしょう。
お店の内観
内観についての調査は、外観とイメージのずれはないか、一貫性が取れているかなどを中心に調査します。例えば、外観はとてもオシャレに見えるのに、中に入ると雑居ビルのような印象を持たれるようであれば一貫性は取れているとは言えません。
また、エントランスにはどれほどのスペースが確保されているか、内装やインテリアがお店のコンセプトと統一されているか、どのように統一を図られているかなどをチェックしてみてください。
また、トイレや洗面所、テーブルや椅子などもコンセプトに基づいて作られているかなども見てみてください。
注力商品
どのお店でも、売れ筋や力を入れている注力商品があると思いますが、競合店はどのようなものを注力商品としているのか調査します。
売り込みたい商品や主力となる商品は、売り場で多くのスペースを使っているので、どれほどのスペースを割いているのか、打ち出し方はどうやっているのか、試食などを置いているのかなども調べていきましょう。
注力商品は季節によって変わってくる場合が多いので、時期を考慮した上で調査していくことが必要です。
店舗内のレイアウト
店舗内のレイアウトも調査項目としてかなり重要なものになります。売れている競合店がどのような陳列方法をしているのか、店内にマップを置いているのか、マップはどのような点が見やすいと感じるのか、などを確認していきます。
大きいスーパーなどではお客様がスムーズに買い物ができるように商品を配置してありますし、陳列している商品棚もお客様が手に取りやすいよう計算されて置かれています。どのような商品をどのような順番で陳列したら売り上げが上がるのかを調査しておきましょう。
また、飲食店などのレイアウトも、椅子とテーブルのレイアウトはどうやっているのか、どうレイアウトすれば滞在時間が長くなりなおかつ追加注文が増えるのか、入店客はどうすれば気にならなくなるのか、などの視点から調査してみてください。
メニューや陳列商品内容
レストランや店舗販売のお店などでは、メニューや陳列商品の内容、数もしっかりと調査していきます。
メニュー表がその店のコンセプトにあったデザインやフォント、メインカラーになっているかどうか、カテゴリの数がいくつあるのか、カテゴリ分けの仕方がお客様に分かり易いものになっているかを調査していきます。
メニュー数も全部でいくつあるのか、お勧めメニューや季節のメニューはどれほどあり、どのような打ち出し方をしているのかもチェックします。
さらに、周りのお客様の様子や自身の調査から平均客単価はいくらくらいになりそうなのかも計算してみましょう。
価格
自身の店舗が競合店と似たような商品を販売している場合、価格調査はとても重要となってきます。
自社と同じような商品を競合店も取り扱っていて、それが自社より安い価格で販売されていると、お客様は当然ですが、価格以上のメリットがないと安い方へ流れていきます。
価格調査によって競合店の主力商品の価格を把握することで、自店においての価格面での対策を講じることができます。また、最近ではアプリなどのクーポンを使って値引きされるシステムを導入している競合も増えているので、アプリやクーポンなどの調査も価格調査の際に合わせて行うとより効果的です。
接客
競合調査では接客についてもしっかりと調査していきます。接客はお店のイメージに繋がりやく、結果的に売り上げにもつながりますのでとても重要な項目です。
外観や内装、味などの質がどれだけ良くても、接客が悪ければリピートはしてもらえませんし、口コミも悪い評価になるので売り上げは伸びていきません。
逆に、多少値段が高かったり、内装がオシャレでなかったりしても、接客が良ければ固定客を捕まえやすくなりますし、口コミを見てくる新規のお客様も捕まえやすいです。
接客調査の際、つい調査に力が入るあまり凝視してしまいがちですが、不自然に思われないようさりげなく調査するように意識しましょう。
競合店調査の結果はしっかり分析して差別化を図ろう
競合店調査は、ただやることに意味があるわけではなく、調査した結果に基づいて分析し、自社の差別優位性を確保していくことが最終的な狙いです。
競合店の方が勝っていると感じるところがあれば積極的に取り入れ自社なりのアレンジを加えるべきですし、競合店の弱みがわかればそれをチャンスに自社の強みとして差別化ポイントになるかもしれません。
どうしても競合と闘うのは難しいと感じたのであればあえて狙っている客層を変えていくという戦略もあります。
競合店調査によって分析して出てきた結果を自社の改善に向けて余すところなく活用していきましょう。
なお、このような競合店調査の実施やその結果の内容分析は自社や自店だけで行うのかかなり労力のかかることですし、時間も取られてしまいます。人員がたくさんいれば誰かに任せることも可能かもしれませんが、満足のいく調査内容での実施が期待できるとも限りません。
そんなときは、調査のプロである調査会社に依頼してみるという方法がお勧めです。調査会社は調査のプロなので、細かい点まで気がついて調査をしてくれますし、競合店に怪しまれることなく調査を実施し、分析結果まできちんと出してくれます。
時間と労力を考えれば、プロの手で調査を行ってもらったほうが効率と効果の両方が期待できるので、ぜひ選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
売れているお店や話題になっている競合店の調査を繰り返していくと、自分の店が足りていないところ、劣っているところ、競合店よりも優れているところなどが浮き彫りになってきます。
競合店調査を通して、競合に負けているところは改善し、相手の良いところを盗み、優れているところはどんどん伸ばして差別化ポイントにしていきましょう。
プロの手も借りながら、定期的に競合店調査を実施していくことでより良いお店作りが可能になりますし、売り上げ向上にもつながりますよ。