従業員の不正が発覚!会社としてどう対応すべき?対応ポイントと注意点

KW会社での従業員による不正行為は、大企業で起きがちなイメージを持たれている方が多いのですが、実際には中小企業やベンチャー企業のほうが起きやすいのが実態です。

 

また、従業員による不正行為はどれだけ注意深く管理していても100%防ぐことはできないトラブルのため、経営者の方にとっては悩みの種になってしまうでしょう。

 

従業員の不正行為が発生した場合、迅速かつ的確な対応が求められます。不正行為から時間が経てば経つほど問題が拡大してしまいますし、犯人であるという証拠を押さえるのも困難になってしまいます。さらに企業価値の大幅な低下を招く恐れも出てきます。

 

従業員の不正行為への対応においては、焦らずしっかりと事実確認の調査を行い、最適な処分を検討していくことが重要です。今回は、従業員の不正行為が発生したときに会社として取るべき対応について、ポイントや注意点をまとめていきます。

 

今現在、従業員の不正行為に頭を悩ませている方はもちろん、今後万が一の事態に備えておきたい方もぜひ参考にしてみてください。

 

 

どこからが不正?多岐にわたる従業員の不正行為とは

「不正行為」や「社内不正」と聞くとなにやら大袈裟な犯罪を想像してしまいがちですが、従業員の不正行為は多岐にわたり、どれほどしっかりした会社であっても身近に溢れています。

 

よくある事例としては、

・会社の金銭の着服

・商品や備品の横領

・機密情報の流出

・接待交際費の不正利用

・交通費の不正申請

・SNSやネット掲示板への誹謗中傷の書き込み

などです。

 

被害金額が億単位になるような大規模な社内不正から、数千円規模の不正まで幅広く考えられますが、被害金額が少ないからと言って見て見ぬふりをするべきではありません。

 

社内における小さな不正をしっかりと潰しておかなければ、後に大きな不正行為となって返ってきてしまうからです。

 

また、昨今は情報社会となっていてSNSやインターネット掲示板を利用している人が増えている影響で、SNSなどを通して、会社の機密情報を流出させるといった不正も発生しています。

 

会社と誠実な社員たちを守っていくためには、不正行為を起こさせないことと不正行為が起きた時に適切に対応することが求められるのです。

 

 

従業員の不正が明らかになったときの対応

ここからは、従業員の不正が明らかになった場合の対応方法について順を追ってみていきたいと思います。

 

 

自宅待機命令を出す

従業員による不正行為が発生しているという情報を耳にしたら、まずは当該社員に対して必要に応じ自宅待機命令を出してください。

 

通常通り出勤させてしまうと、さらなる不正行為を働いたり、証拠を隠滅されてしまったりする可能性があるため、多額の横領など重大な不正の場合は自宅待機命令を出しておくのが最適と言えるでしょう。

 

なお、自宅待機命令を出している間の給料については、原則として支給しなければなりませんが、就業規則の内容や不正の内容によっては無給でも可能な場合もあります。

 

自宅待機命令中の給料の支給に関しては、慎重に判断すべき点ですので、顧問弁護士などに相談してみたほうが確実です。

 

 

不正行為に関する事実関係の調査

必要に応じて自宅待機命令を出したら、その間に不正行為に関する事実関係の調査を行っていきます。

 

従業員が不正行為をすべて認めてくれればいいですが、多くの場合言い逃れしたり認めようとしなかったりしますので、不正行為に関する確固たる証拠が必要不可欠です。

 

経理関係の書類やデータの資料を集めたり、SNSやネット掲示板に書き込みを行っていないか調査したりして証拠を集めていきます。場合によっては会社の通帳や印鑑を勝手に持ち出していないかなど指紋鑑定をすることで調査する場合もあります。

 

事実関係の調査は、証拠収集において欠かせないものですし、正確な証拠を掴むためには専門的な知識や技術が必要になりますので、企業調査に強い探偵に相談したうえで進めていくことをお勧めします。

 

 

調査で得た証拠を元に事情聴取

ある程度不正行為の証拠が揃ったら、不正行為を行ったと思われる従業員に対して事情聴取を行っていきます。

 

事情聴取の一番の目的は、不正行為を認めさせることですが、他にも

 

・謝罪や反省の意はあるか

・弁償する意思があるか

・不正行為の時期

・不正によって得た金額

・不正行為をするにあたり持ち出した会社の物品は何か

・不正の際に利用した書類は何か

・不正をするにあたって関与している人物(他の従業員や取引先など)

などの項目について事情聴取で確認していきましょう。

 

なお、事情聴取を進めていく中で本人の言っていることが二転三転する場合も考えられます。二転三転する場合は何が本当で何が虚偽なのかの判断が難しくなってしまいますので、変遷状況がわかるように、しっかりと記録しておくことが重要です。

 

 

不正行為を行った従業員への処分を検討する

事実関係の調査や事情聴取によって不正行為が起こったことが確実となった場合、不正行為を行った従業員に対しての処分を検討していく段階になります。

 

処分の種類としては

・懲戒処分(会社での責任追及)

・損害賠償請求(民事上の責任追及)

・刑事告訴(刑事上の責任追及)

が考えられるでしょう。

 

どの処分を行うかについては、管理部全体で話し合ったり、弁護士に相談したりしながら決めていくと良いですね。

 

参考記事:従業員による横領が発生!損害賠償請求を確実に行うための対応の手順

https://kigyo-chosa.com/naibu-husei/blog-95/

 

参考記事:従業員の横領で警察に受理してもらい刑事告訴を成功させるポイント

https://kigyo-chosa.com/taiho/blog-94/

 

 

損害賠償請求を検討すべき状況

不正行為の内容や被害額にもよりますが、不正行為を行った従業員に対して損害賠償請求をしたいと考えている経営者の方は多いでしょう。では、どのような場合に損害賠償請求が成功する確率が高くなるのでしょうか。

 

ここでは、損害賠償請求できる可能性の高い状況について見ていきましょう。

 

 

横領行為があった

社内において、窃盗や横領などの不正があった場合は、損害賠償請求を検討すべき状況と言えます。

 

これらの不正行為は民事的にも不法行為として損害賠償請求の対象となりますので、犯人である従業員に対して、会社が被った被害について損害賠償請求を行うことができます。

 

 

誹謗中傷をされた

SNSやインターネット掲示板などで誹謗中傷をされた場合も損害賠償請求を検討すべきと言えます。

 

ネット上の誹謗中傷も民事上不法行為に該当しますので、誹謗中傷が名誉毀損罪や侮辱罪にあたることを証明したうえで損害賠償請求を検討していくと良いでしょう。

 

ただ、会社に対しての誹謗中傷はどのような被害、実害が出ているのかを証明できなければ裁判で損害賠償請求が認められないことも多いため、被害や実害の証拠も合わせて探偵に押さえておいてもらうことをお勧めします。

 

 

不正アクセスをされた

会社のパソコンなどに不正にアクセスした場合、「不正アクセス禁止法」に違反する犯罪です。また、不正にアクセスしたことによって得られた会社の企業秘密を取得したり、漏洩したりする行為も法律違反となります。

 

そのため、従業員が不正アクセスをしていた場合、民事上の責任追及ができるだけでなく、場合によっては刑事告訴を検討する必要も出てくるでしょう。

 

不正アクセス禁止法に違反している場合、損害についての規定が明確に定められていますので、他の被害事例よりも損害賠償請求が認められやすいという特徴もあります。

 

 

懲戒処分の種類と懲戒処分をするときの注意点

不正を行った従業員への対応として、社内での責任追及を行う懲戒処分を行うこともできます。

 

懲戒処分の種類としては

・戒告(従業員に対する指導や警告)

・減給

・出勤停止

・降格

・退職勧奨(自主退職を促す処分)

・懲戒解雇

があります。

 

懲戒処分を行うときの注意点としては、従業員の行った不正行為とそれに対する制裁としての懲戒処分の重さが釣り合っていなければならないという点です。

 

特に懲戒解雇は懲戒処分の中でも最も重い処分とされていて、即時職を失うだけでなく、再就職にも重大な影響を及ぼす可能性があり、従業員の生活にダイレクトにダメージを与える、懲戒解雇を適用すべきかどうかは非常に慎重に判断されるべきだと言えます。

 

もし安易に懲戒解雇をしてしまい、従業員のほうから不当解雇だと訴えられてしまった場合、被害者である企業側が負けてしまう可能性は十分にあり得るのです。

 

そのため、懲戒処分を行う際は、懲戒解雇以外の選択肢もあり得るのであれば、まずはそちらを検討するべきでしょう。「不正行為=懲戒解雇」と考えるのではなく、減給や降格など他の処分も検討するようにしてください。

 

 

社内不正に対応するときに注意すべきポイント

社内不正は完全に防ぐことが難しい問題で、どこの会社にも起こりうるものです。そのため、いざ社内不正が起きた時に正しく対応することが重要です。対応を少しでも誤ってしまうと、さらなる問題を招いてしまいますし、トラブルの処理に余計な時間と労力がかかってしまうことになります。

 

この章では、社内不正に対応するときに注意しておきたいポイントについてまとめていきますので、実際に対応する際の参考にしてみてください。

 

 

社内だけで調査を進めない

社内不正をできるだけ大事にせずに、ひっそりと解決したいという思いから、社内だけで対応して調査を進めようとされる経営者の方がいらっしゃいますが、社内だけで調査をするのはおすすめしません。

 

調査に関する知識や経験がない状態で独自に調査を進めても、社内不正を証明できる証拠はなかなか手に入りませんし、不正を犯した社員に調査していることが知られてしまい、証拠隠滅を図られてしまう恐れもあります。

 

何をどのように調べればいいのか、何を証拠として押さえればいいのかがわからず、やみくもに調査しても結果が出ないままで時間を無駄にしてしまうことになります。

 

通常業務をしながら調査をすることは考えている以上に大変ですし、通常業務に支障が出てしまっては元も子もありません。

 

社内不正に関する調査をする際は、調査のプロであり企業調査に力を入れている探偵や調査会社に依頼するのがベストです。

 

 

通報による発覚の場合は通報した従業員を守る

社内不正が発覚するきっかけとして、社内の従業員からの通報によって明るみに出るケースはとても多いです。この場合、経営者は社内不正を通報してくれた従業員を守る義務があります。

 

不正を行った従業員への事情聴取や他の社員への聞き取り調査の際も、「なぜ不正が発覚したのか」「誰からの情報なのか」は必ず伏せておかなければなりません。通報した従業員は、会社のことを思い、勇気を振り絞って通報してくれているわけですから、会社としては守り通すことが必要です。

 

通報してくれた従業員の名前を伏せ続け、きちんと守ることができれば、万が一次に社内不正が起こってしまった際も他の従業員たちが通報しやすい環境を作り上げることにつなげられます。

 

もちろん、社内不正が再発しないように環境を見直すことも大切ですが、それと同時に不正や不審なことが社内で起こったときに報告しやすい環境を作っていくことも重要なのです。

 

 

証拠が揃っていない段階では問い詰めすぎない

社内不正が起きていることがわかり、犯人の目星がついていると、どうしても本人に問い詰めたくなってしまう気持ちはわかりますが、確固たる証拠が揃っていない段階で問い詰めすぎるのは危険です。

 

証拠がないのに問い詰めてしまうと警戒心を強めてしまい、証拠となり得るものを破棄される危険性が非常に高くなります。証拠を破棄されてしまえば、不正行為の証明ができなくなってしまいますので、損害賠償請求や懲戒処分などの対応ができなくなります。

 

話を聞く際もあくまでも本人を疑っている素振りは決して見せないように注意を払うようにしてください。

 

 

再発防止に努める

ここまででもお伝えしているように、社内不正は完全に防ぐことはできません。いくら風通しの良い環境づくりをしても、社員たちのストレスを軽減しても、人間の心を完全にコントロールすることは不可能です。

 

しかし、だからと言って社内不正を防ぐための対策を取る必要が全くないかと言えばそうではありません。

 

従業員一人一人が意見を言いやすい職場環境を整えていくことや、仕事の頑張りに対して見合った報酬を与える仕組みを整えていくことは社内不正を防止することにつながります。

 

また、社内不正を引き起こす原因を早期に発見できるような仕組み作りや、物理的に不正を発見するための不正対策用監視ツールを導入することはすぐにできる対策の一つです。

 

社内不正を防止する対策をしっかりと行っているということが従業員に伝われば、不正を起こせないと感じて抑止力になるでしょう。

 

 

まとめ

社内不正が起きていることが発覚した場合、早期に正しく対応することが非常に重要です。正しく対応していくことで、トラブルを解決できるまでのスピードも速くなりますし、損害賠償請求などの対応も取れるようになります。

 

対応していくうえで証拠の確保がとても重要になりますが、社内不正の調査は独自で行ってしまうと何をどう調べたらよいのかわからず、証拠確保に時間がかかりすぎてしまいます。調査に関しては、企業調査を専門とする探偵を活用し、早急に解決に向けて進めていくことをお勧めします。