新型コロナの影響で、多くの会社が経営難に追い込まれています。
「自分の会社はなんとかやっていけているから大丈夫」 と思っていてもあなたの会社の取引先がいきなり倒産してしまうかもしれないのです。 ある日突然、仕入れ先の取引先が倒産したり、出荷先の取引先が倒産したりする事態は決して他人事ではありません。
今回は、取引先が倒産したときにどのような対応を取ればいいのか、倒産後に債権回収する方法はあるのか、そして、取引先が突然倒産することに対してどのように備えれば被害を最小限に抑えることができるのかについてお伝えしていきます。
取引先はある日突然倒産するかもしれない
取引先は時として何の前触れもなく突然倒産することがあります。
「先週まで普通に取引をしていたはずなのに・・・」 ということもありえます。 特に最近ではコロナの影響で事業に大きな被害が出ている企業も多く、突然倒産してしまうケースも多発しています。
そして、取引先が倒産したことを知った時点で、取引先から回収できていない売掛金が残っていたり、納品するはずだった商品が残っていたりすることも考えられます。 いずれにしても取引先が倒産したら、適切かつスピーディーに対応しないと、回収できるものもできなくなってしまい、損失が大きくなってしまいます。
取引先が倒産したことを知ったらすぐに正しい情報を集め、入手した情報をもとに、どのような対処を取るべきかすぐに検討を開始することが重要です。
コロナで突然の倒産が増えてきている
新型コロナウイルスが猛威を振るい始めて一年以上が経過しますが、新型コロナウイルスの影響で倒産してしまった企業は2021年5月7日16時の時点で全国に1413件確認されています。
発生月別では2021年3月が189件で突出していますが、今後さらに増加する見通しとされています。業種別では「飲食店」(232件)が最も多く、「建設・工事業」(127件)、「ホテル・旅館」(88件)、「アパレル小売」(74件)も数多く影響を受けていることがわかります。
そのほかの業界にも影響が出ているところもありますので、他人事と考えず、万が一に備えて自分の会社の倒産だけでなく、取引先が突然倒産してしまうリスクに備えておくことが重要です。
参考記事:新型コロナウイルス関連倒産は1413件~4月の倒産は119件に
取引先が倒産したらどう対応すればいい?
では、早速ですが取引先が倒産したらどのように対応すればいいのでしょうか。
倒産の種類を見極める
現在では、日本の会社同士の取引だけでなく、海外の企業と取引しているケースも増えています。海外の企業と取引していてその海外企業が倒産した場合、法的整理なのか、私的整理なのか、倒産の種類を見極めることが重要です。
法的整理とは、裁判所の関与の下で法に基づいて行われる倒産手続のことを言い、私的整理は裁判外で行われる倒産手続のことを言います。裁判所が関与する法的整理とは違って、私的整理の場合は、債権回収は早ければ早いほうがいいです。まずは、倒産の種類を正しく見極めるようにしてください。
実情の確認
取引先が倒産したという情報が入ったら、まず相手企業の実情を正確に把握しましょう。
倒産したとされる取引先は事業を継続している可能性はないか、法的手続(裁判所に申立てる法的整理)をしたのか、する予定なのかなどを早めに把握しましょう。 さらに、自分の会社の債権で未回収のものは何がどれだけあるのか、自分の会社は取引先に債権を持っているかどうかも合わせて確認しておきましょう。
債権リストを作成する
続いて、どのような債権が未回収として残っているのかをすべてリストアップすることが重要です。
・債権の種類は何か(売掛金なのか、手形債権なのか、など)
・金額はそれぞれいくらか
・契約書類はどうなっているのか
・担保の有無はどうか
など、すべて債権リストとして作成しておきましょう。
すべての契約書類はコピーを取っておくことも忘れないようにしましょう。
相手方と交渉する
取引先が倒産したことが分かったら、できるだけ早く相手企業の責任者に会って実情を確かめることも重要です。その上で、相手方と交渉を進めます。
・未納品があれば納入をストップできないかどうか
(もし納品を続けてほしいと言われたら現金による前払いを求めてください)
・自社の納入商品があれば引き渡ししてもらえないかどうか
(自社商品であっても無断で持ち帰ることは問題なので、商品を引き取ることを伝えて同意書にサインをもらってください)
・支払いの代わりにほかの資産を譲り受けることは可能か
取引先の倒産がわかったらできるだけ早く以上のことを交渉しておいてください。
取引相手が交渉に応じない場合
取引先が倒産したらすぐに交渉を行うべきですが、もし取引先が交渉に応じてくれない場合はどうすればいいのでしょう。
そのような場合は、法的手段として相手企業の資産の保全措置をとったり、強制執行したりすることも検討したほうがいいでしょう。 保全措置には、仮差押と仮処分があります。どちらも保証金が必要ですが、相手の同意は必要ありません。
また、強制執行には、法が権利行使を認めた債務者名義の証書が必要になります。このような法的手続きは専門的な知識がないと後々トラブルになりかねませんので、弁護士に相談したほうがいいかもしれませんね。
取引先が倒産しても回収可能な3つの債権回収の方法
取引先が突然倒産してしまったら、売掛金の回収に戸惑い、問題が発生する可能性が高いです。
基本的には倒産した企業の残っている財産から債権者に平等に配当されることになりますが、倒産する企業の配当金は微々たるものであることが多く、配当金から債権を回収するのはかなり難しいでしょう。
そのため、「倒産した取引先からの債権回収は無理なのか・・・」と諦めてしまいがちですが、債権回収を実現する手段が全くないかというとそうではありません。以下に取引先が倒産した場合にできる債権回収の方法について解説していきます。
相殺による債権回収
倒産した会社に対して、売掛金だけではなく買掛金もある場合、これらを相殺することで、結果的に債権回収することができます。 プラマイゼロにしてもらうということですね。 相殺可能な債権がないか相手企業に確認し、可能な場合は相殺したいということを伝え交渉してください。
担保権の実行による債権回収
売掛金に担保や保証人がついている場合は、担保や保証人から売掛金を回収できる可能性があります。 今一度、担保がないか、保証人をとっていないか、契約内容を確認してみましょう。
商品の引き上げによる債権回収
代金を支払うまでは商品の所有権を売主に残している契約をしている場合は、商品を引き上げることで債権回収が可能になります。 もし、そのような所有権についての取り決めをしていない場合にも、代金の不払いを理由に売買契約を解除して、商品を返してもらうように交渉することもできます。
ただし、自社商品だからといって勝手に引き上げてしまうと窃盗罪に問われることもありえますので、しっかりと相手に了承をとり、引き上げ同意書などの文書を作成してサインをしてもらうことが重要です。
会社を守るために取引先の倒産はいち早く察知すべき
取引先が倒産してしまうと、自分の会社にも多大なるダメージや大きな影響が出てしまいますよね。 できれば倒産しそうなのであれば、早めに察知して対応を取っておきたいところです。
少しでも早めに倒産の危機を察知できれば、売掛先の回収を前倒しで進めることもできますし、納品についても計画を変更するなどの対処も可能になります。 何より、突然取引先が倒産してしまって慌てることがないだけでも早めに察知するメリットは大きいと言えます。
まとめ|取引先の突然の倒産による被害を最小限に抑えるためには企業調査を
「まさか、うちの取引先が倒産・・・?」 という事態に陥ってしまう前に、企業調査を行って危険を回避することが何より重要です。
企業調査は探偵が得意とする調査の一つで、探偵ならではの人脈や情報網を駆使し、取引先に関してのあらゆる証拠を多方面から確実に収集していきます。
探偵による企業調査の結果を確認することで、取引先がどのくらい倒産の危機に瀕しているのか、逆に今後も取引を続けても大丈夫なのかどうかの判断がしやすくなります。 取引先の倒産でご自身の会社を危険にさらすことのないよう、企業調査で大切な会社を守ってください。
企業調査のご相談はいつでも無料相談で受け付けております。