KW近年はビットコインをはじめ、さまざまな仮想通貨が登場しています。仮想通貨は実体のないお金のことで不安要素も大きいですが、その反面、投資をすることで資産を増やせる可能性もあり、ビジネスや取引において導入を考えている企業も増えてきています。
20202020年には99月から翌年の44月にかけて100100万円台から700700万円を超えるまで価格が上昇し、期待を膨らませた方も多いのではないでしょうか。しかし、その後300300万円にまで下落するなど、価格変動が激しく、ビジネスに取り入れても大丈夫かどうか判断がしにくいのも事実です。
そこで今回の記事では、ビットコインなどの仮想通貨をビジネスに導入するメリットやビットコインで取引をすることのデメリットや危険性について詳しくお伝えしていきます。
今後、取引通貨としてビットコインの導入を検討している方や迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ビットコインとは
ビットコインは20082008年にインターネットで論文が公開され、20092009年には最初の取引が行われた世界初の暗号資産のことです。
ビットコインは円やドルなどの法定通貨と異なり、紙幣や硬貨が存在しない仮想通貨です。すべてデジタル上で取引されますので、デジタル通貨とも呼ばれることがあります。
ビットコインは中央銀行のような発行や流通を管理する組織が存在せず、コンピューターのネットワークで管理されているというのも大きな特徴でしょう。
ビットコインなどの仮想通貨をビジネスに取り入れるメリット
ビットコインは何やら怪しいもの、というイメージをお持ちの方も少なくないと思います。冒頭でもお伝えしたように、ビットコインは価格変動が激しく、いつ大幅に下落するか分からないためビジネスに導入するにはリスクもはらんでいます。
しかし、同時にビットコインで取引するメリットも大きいため、自社のビジネスモデルや会社の方針と照らし合わせて導入を検討していくことが重要です。
個人間での送金が可能
ビットコインでの送金は取引する個人間で直接やり取りすることができます。
通常の送金だと銀行を介して行われるため、時間も手間も手数料もかかってしまいますが、ビットコインでの取引は銀行を間に挟んでいないため、送金における手数料などの出費を防ぐことができます。
また、銀行を介する送金の場合、送金金額に応じて手数料が変動しますが、ビットコインであれば少額であっても高額であっても関係なく送金手数料なしで送金することができます。
お金と時間を削減できる
ビットコインをビジネスに活用する最大のメリットとも言えるのが、送金のスピードと手間、およびコストを削減できるということでしょう。
特に海外の企業と取引する場合、通常の通貨で海外へ送金しようとすると、レートや両替の問題が出てきます。
ドルであれば、まだ使い勝手がいいので日本円に両替せずそのまま使用している企業もありますが、ドル以外だと使い勝手が悪く、日本円に両替しなければならなくなります。その際、両替手数料という無駄なコストがかかってしまいます。
また、取引が成立した日のレートと、送金する時のレートが分かっていると計算しなおすのに手間がかかりますし、いくらの利益が出るのか把握が難しくなってしまいます。
送金までの時間がかかるというのはビジネスにおいては致命的なのです。一方、ビットコインを使っての取引であれば送金までの時間や両替手数料、送金手数料などのコストを削減できるので、スムーズにビジネスを進めることができます。
ボラリティが大きい
ボラリティとは値動きの幅のことを言います。ビットコインはこのボラリティの幅がかなり大きいという特徴があります。もちろん、これはリスクともつながるのですが、裏を返せば大幅に資産を増やすことができる可能性を秘めているとも考えられます。
実際、ビットコインバブルといわれる20172017年ではたったの11年間で1010万ビットコインが240240万ビットコインにまで価格が高騰するということも起こっているため、資産を短期間に増やすことができるかもしれないのです。
小額からスタートできる
敷居が高いと思われがちな仮想通貨ですが、実際には100100円~10001,000円単位から購入することができます。スマホで簡単に購入できる点も忙しいビジネスパーソンにとっては魅力的でしょう。
海外企業との取引でビットコインを導入しようか迷っているけれど、まとまった資金がないからビットコインの投資が難しい・・・ということは考えなくてもいいのです。
余剰資産を使って少額で気軽にビットコインを取引に導入できるというのは嬉しい一面ですね。
ビットコインで取引をすることのデメリット
ビットコインで取引を行うことにはたくさんのメリットがあるとお伝えしましたが、もちろんデメリットも存在します。
ビットコインを導入するにあたっては、メリットとデメリットの両方をしっかりと把握し、その両方を天秤にかけて検討していくことが大切です。
税金が高い
ビットコインの最大のデメリットとも言えるのが税金が高いということです。ビットコインで得られた利益は雑所得に分類されます。この雑所得には所得税がかけられることになり、かならず法定の税率に応じて税金を納めなければなりません。
所得税はご存知の通り、所得に応じて税率が高くなりますので、ビットコインで得られた利益が大きくなればなるほど、税金も高くなってしまうのです。
例えば利益を含む課税所得が40004,000万円以上の場合の課税率は45%ですので、仮に11億円の利益を得た場合、半分近くの4500万円が税金として持っていかれ、手元には55005,500万円しか残らないことになります。そこを頭に入れずに大きな利益を得たと思い込んで使い込んでしまうと、翌年にかなりの課税がきて会社の資金繰りが苦しくなってしまう恐れもあるのです。
ネット環境が必須
ビットコインはデジタル上ですべてが管理され取引がされるため、ネット環境があることが大前提となります。
ビットコインは実態のない仮想通貨なので、銀行やコンビニATMATMでの引き落とすことはできませんし、現金のように金庫に保管することもできません。取引自体も、ネット上に開設した口座をもとに、ネット上で行うことになります。
今やほぼ100100%の会社でインターネットを引いているので、そこは問題ではないと感じるかもしれませんが、ネットワークにつながった状態というのはハッキングのリスクもあることは頭に入れておかなければなりません。
万が一のハッキングリスクに備えて、ビットコインを使う際はオフライン上のコールドウォレットに保存するなどしっかりと対策をしていく必要があるでしょう。
価値の保証がない
ビットコインの価格変動が激しいことはご理解いただけたかと思いますが、価値の保証がないということも大きなデメリットです。
ビットコインは円やドルなどの法定通貨ではないため、国や政府機関などの専門機関の介入を一切うけていません。中央銀行などが介入しないということは、その通貨の価値を保証する機関が無いということになります。
円などの法定通貨であれば、仮に大きなインフレやデフレが起き、生活に大きな支障が出てくるような場合は、ある程度、中央銀行である日本銀行が介入し、さまざまな施策を行いますよね。それによって、多少なりとも状況が改善されますし、価値が00になることはほぼありえません。
しかし、ビットコインのような仮想通貨の場合はそのような専門機関が介入しないため、もしもコインの価格が大暴落して価値が00になりそうな場合であっても、一切の調整はされないのです。
ビットコインをビジネスに導入するメリットとしてボラティリティが大きいということをお伝えしましたが、これは裏を返せば価値が急落した場合には大きく損をしてしまうということでもあるのです。
横領の危険アリ!?ビットコインをビジネスに導入する際のリスク
ビットコインでの取引には、メリットもデメリットもありますが、それ以上に理解しておかなければならないのが、横領や流出などのリスクです。
ビットコインはすごく儲かりそうだし、海外企業との取引にも有利だからと飛びつきたくなる気持ちもわかりますが、危険をかえりみずに安易にビットコインでの取引をはじめてしまうのはリスクかなり大きいと言えるのです。
ハッキングされるリスク
ビットコインをはじめとした仮想通貨には常にハッキングされるリスクがつきまといます。
仮想通貨の保管場所には2つの種類がありますが、この保管場所には特に注意が必要です。
ビットコインの保管場所の一つはホットウォレットといい、インターネットに接続された環境にある財布のようなものです。22つ目はコールドウォレットといい、インターネットから遮断された環境にある財布のようなものです。
ホットウォレットにビットコインを保管しておくとインターネットが接続された環境に置かれている通貨ということになりますのでハッキングされるリスクが非常に高まり危険です。ホットウォレット上に置いたままにしておくと、ハッキングされ流出する可能性が高まるので、取引したビットコイン通貨は必ずネット環境から遮断されたコールドウォレットに保存するように注意しましょう。
日本においてもビットコインの取引所がハッキングされ、過去にハッキングによってビットコインを含む仮想通貨6767億円が流出した事件があるのです。
社内の人間によって横領されるリスク
ビットコインを企業で導入する場合、自社内の社員にビットコインが横領されるリスクも考えなければいけません。
ビットコインは個人間の送金が可能で、送金スピードも速いため、それを悪用した社員がビットコインを自分のネット口座に送金するリスクもあります。また、ビットコインの価値の変動は大きいため、経営者自身が現在いくらの価値のビットコインを保有しているのか完全に把握するのは難しいでしょう。
まだまだビットコインをはじめ仮想通貨の特徴や落とし穴を理解しきれていない方も多いかと思いますので、そのスキを狙って横領を企む社員がいるかもしれないということは念頭に置いておくべきです。
ビットコイン関連の多額の横領詐欺事件については次の章で詳しく見ていきましょう。
なお、ビットコインを取引に導入してから少しでも異変が起きていたり、不審な行動を取る社員が出てきたりした場合は、すぐに社内調査を行って社内不正が起こっていないかどうかを確認することが重要です。
ビットコイン関連の横領事件は実際に起きている
20212021年に仮想通貨界隈で話題となったのが、ソニー生命の元社員による170170億円横領事件です。
この事件の概要はソニー生命保険の社員が海外子会社の口座から約170170億円をだまし取り、横領したお金を暗号資産であるビットコインに変換していたというものです。報道によると、横領した全金額をアメリカに不正送金した後、現地の仮想通貨取引所でビットコインに変換したのです。ビットコインに変換していたため、レートの増価によって事件発覚後の回収時には170170億円が約207207億円になっていて、ネット上では「増えた3737億」の行方が話題となっていました。
ある弁護士によると、ソニー生命から盗んだ170170億円は当然返還義務があるものの、レートの増価によって得られた利益の3730億円については、犯罪者である元社員に帰属する可能性があると言及したことから、今後模倣犯が出てくる可能性も否定できません。
また、今回はアメリカという日本の友好国の取引所で変換していたために差し押さが可能でしたが、今後模倣しようとする人物は日本政府がアクセスできない国や地域にビットコインを移すなどの犯罪計画を立てる可能性もあります。
このような事件から言えるのは、ビットコインを悪用して横領を働こうとする社員が出てくる可能性が高いということと、横領したお金をビットコインに変えられてしまうと所在がわからなくなってしまい、気が付いたときには被害が途轍もなく大きくなってしまう危険性があるということです。
まとめ|横領事件を未然に防ぐためには定期的な企業内調査を
今回は、ビットコインをはじめとする仮想通貨の利便性やデメリット、危険性などさまざまな観点から見てきました。海外企業と取引をしている会社や、ビットコインのメリットを多く享受できる会社は導入を前向きに検討していくでしょう。
もちろん、うまく活用すれば会社にとっても大きな利益になりますが、まだまだ深い知識を蓄えるには時間がかかると思いますので、導入の検討や実装は慎重に行うべきと言えそうです。
また、ビットコイン関連も含めた横領事件を未然に防ぐためには、定期的に企業内調査を行うことが有効です。定期的に企業内調査を行っていれば、不正が仮に起こっていたとしても被害が小さいうちに対処できますし、社員たちも調査が定期的に行われているとなれば、不正を自制することにつなげられます。
社内不正はどれだけ注意していても、どこの会社でも起こりうることなので、万全の対策をしつつ、万が一に備えておくようにしてください。