KW一昔前から仮想通貨とも呼ばれる暗号資産の存在が話題になりましたよね。今では仮想通貨の種類も増え、一般的な認知度も高まってきていると思います。
メディアやSNSSNSでは、仮想通貨で巨額の富を築いた人が取り上げられたこともあって、今持っている資産を投資してより多くの資産を仮想通貨で築いていきたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、仮想通貨は多くの魅力がある一方でさまざまなリスクがつきものです。価格変動で大損することもありますし、取り扱いが複雑で知らない間に社内の知識ある従業員に横領されてしまう危険性もあります。
このような危険性を回避し、仮想通貨を賢く活用するためには正しい知識を身に付けるのが大切です。
今回は、仮想通貨の概要から仮想通貨を企業で活用することのメリット、そして仮想通貨の持っている危険性やリスクについてお伝えしていきます。合わせて、企業での仮想通貨のリスクを回避するための方法についても解説していきますので、今後の導入を考えている経営者の方や現在、仮想通貨を導入して疑問点がある方などはぜひ参考にしてみてください。
仮想通貨(暗号資産)の概要とは
これから企業で仮想通貨を導入しようと考えている方も、すでに仮想通貨を企業で導入している方も、まずは仮想通貨の概要について確認していきましょう。
仮想通貨はコンピュタの暗号化技術を用いて取引される、デジタル通貨の総称です。一般的に使われている紙幣や硬貨などの「法定通貨」とは違っていて、国家による価値の保証がない通貨と言えます。すべてがデジタルで行われるため、通常の通貨のような紙幣や硬貨は存在しません。
最近では仮想通貨の種類も増えてきて、世界中にさまざまな仮想通貨が存在し、現在では1500種類以上もあると言われています。
すでに触れたように、仮想通貨は国家が発行するものではなく、私的なものであるため、国家の中央銀行が国家の信用を後ろ盾に発行する通貨とは、根本的に成り立ちが違うということを頭に入れておく必要があります。
つまり、取引する者同士のお互いが、「この仮想通貨は信用できる」と考えたうえでその仮想通貨に参加し、売買や決済を行っているということです。
投機目的で仮想通貨の売買を行っている人も多いため、仮想通貨の価値が一日で数十%乱高下することも、珍しくなく、価値の乱高下が起こりやすいというのが特徴の一つとも言えます。
企業で仮想通貨を活用するメリット
仮想通貨の概要でも述べたように、仮想通貨の価値は乱高下が起こりやすいのでビジネスには向いて無さそうに感じますが、実際にはビジネスで利用する企業も増えてきています。
企業において仮想通貨を利用する最も大きなメリットと言えるのは、送金のスピードが速いこととコスト削減できるということでしょう。
通常、現在私たちが使っている通貨で海外へ送金しようとすると、為替や両替の問題が出てきます。ドルであればそのままでも使用しやすいので両替する必要はないかもしれませんが、その他の地域の通貨であると両替しなければ使い勝手が悪くなってしまいます。そうなると両替手数料がかかってしまいますよね。
また、取引が成立し購入や売買が決定した日の為替と、決済をする時の為替が異なっていた場合に、為替差損、為替差益が発生します。そうなると、商談するときに日本円にするといくらになるのか、いくら払えば損にならないのかなどが把握しにくくなってしまうのが問題になります。さらに送金に時間がかかるとリスクが大きくなっていきます。
銀行を介するとこれらのリスクや手間に加えて送金手数料もかかってしまいますので、その金額を上乗せして取引しようとすると割高になってしまい、取引もスムーズにいきにくくなってしまいます。
その点、仮想通貨を使用すれば、即時に送金することができますし、両替手数料や送金手数料を抑えることができますので、決済もスピーディに進められるようになります。
このようなメリットが大きいと感じられる企業から順に仮想通貨をビジネスに取り入れる会社が増えてきているのです。
仮想通貨を企業で導入することは予想以上のリスクもある!?
仮想通貨のメリットを考えると企業で仮想通貨での取引を検討したいと考えている方も多いかと思います。また、取引先から仮想通貨での商談をしたいと持ち掛けられていると、導入を検討せざるを得ないですよね。
そこでこの章では、仮想通貨を導入する際のリスクや危険性を解説していきます。
価格変動で大損するリスク
仮想通貨は短期間で価値が急上昇、急降下する可能性があります。実際に、ビットコインのチャートを見てみると、過去に2年間で100万円台から700万円台まで価格が変動している時期もあるのです。
仮想通貨を購入するタイミング次第で、大きな利益を得られることももちろんありますが、反対に大損につながる危険性もあるということです。
関連サイト:ビットコインチャートビットコインチャート
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/bitcoin/
通貨自体の価値がなくなるリスク
仮想通貨の銘柄選びをミスってしまうと、仮想通貨自体の価値がなくなってしまうリスクもあります。
過去に、LUNCLUNCという仮想通貨は大暴落を起こし、ある時点で1万円台をつけていたにもかかわらず機能の崩壊を起こしてしまい、1週間後には0.01円台まで急落してしまったのです。実質的に価値がなくなったということです。
すべての仮想通貨の価値がある程度保たれる保証はなく、仮想通貨の銘柄によっては通貨自体の価値が無くなるリスクがあるため、事前にしっかりと下調べをし、購入する銘柄選びは慎重に行う必要があります。
パスワードの管理リスク
仮想通貨は管理方法を少しでも間違えてしまうと、悪意ある第三者に仮想通貨をまるごと盗まれてしまうリスクがあります。もちろん、企業内の社員が会社の資産である仮想通貨を盗もうとしている可能性もあるため、社員だからと安心しきるのは危険です。
現実に、会社の資産である仮想通貨がパスワードを入手した社員によってすべて盗まれてしまい逃亡してしまったというケースも報告されています。
そのため、パスワードを他人に聞かれたとしても、絶対に伝えてはいけません。オンライン上のメモも流出してしまうリスクがあるので、原始的ではありますが紙などに書いて厳重に保管するようにしましょう。
なお、パスワードの他にも、リカバリーフレーズというものがあり、万が一仮想通貨のウォレットへのアクセスができなくなった場合に復旧に必要な「複数の英単語の組み合わせ」を決めていきますが、これもパスワード同様に他人に絶対に伝えないように管理しましょう。
これらの管理がしっかりとできていないと横領などの被害に遭う危険性が高くなってしまいます。
詐欺被害に遭うリスク
仮想通貨を始めるにあたって少し気負いしてしまうのは、仮想通貨に関する詐欺被害が発生しているからでしょう。
実際に、仮想通貨をめぐって様々な詐欺行為が発生しているため、だまされないよう慎重に判断や選択をしていく必要があります。仮想通貨に関する知識が現時点で深い人はそれほどいないため、正しいかどうか、リスクがあるのかどうかの判断が難しくなっていることが詐欺被害が多く発生している原因とも言えます。
詐欺のパターンとしては、仮想通貨のパスワードやリカバリーフレーズの入力を求める偽のサイトに誘導され、仮想通貨を盗まれたり、「この仮想通貨は儲かる」と聞いて購入したものの、プロジェクト自体が消えてしまったりなどの被害ケースがあります。
ハッキングで資産を失うリスク
仮想通貨取引所そのものがハッキングされて、資産が流出してしまうというリスクもあります。これは、取引所そのもののリスクなので、自身でパスワードやリカバリーフレーズの管理を徹底していようがいまいが関係なく起こってしまうリスクです。
実際、20142014年に起きたマウントゴックス事件では、不正アクセスによって当時レート約470470億円相当のビットコインが盗まれてしまい、結果マウントゴックス社は経営破綻しました。そしていまだ顧客への補償は不透明な状態が続いています。
セキュリティの甘い取引所は狙われやすいため、仮想通貨を選ぶ上で取引所選びも慎重に行うことが重要です。
横領されたことに気が付きにくいリスク
仮想通貨を利用していくうえで、外部からのハッキングや仮想通貨そのものの価値の暴落、詐欺被害などのリスクにも注意していかなければなりませんが、会社内部におけるリスクにも注意を払っていく必要があります。
これまでの通常の通貨であれば、実際に目に見えますし、価値は一定ですので通帳などを確認すれば仮に社内不正や横領が起きていても気が付きやすいのですが、仮想通貨はすべてデジタルで行われているため、紙幣や硬貨は一切なく、慣れていないうちは管理が難しくなってしまいます。そのスキを狙って仮想通貨の知識のある社員が会社の資産を目当てに横領を行う危険性も否定できません。
ベテラン社員で信用もできるからと、会社資産の仮想通貨の管理を任せていたけれど、若手の社員が仮想通貨を横領してしまい、ベテラン社員が仮想通貨の知識が浅く、横領に気が付くのが遅れて手遅れになってしまった・・・という被害事例もありますので、社内での横領リスクについても対処していく必要があるのです。
仮想通貨のリスクから企業を守るための方法
仮想通貨を企業で導入することには、多くのメリットもありますが、リスクも伴うことはここまででお伝えしてきました。
リスクも理解したうえで仮想通貨を利用してみたいけれど、できるだけリスクを減らしたい、仮想通貨の危険性から会社を守りたい、という場合、どのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか。
ここでは、仮想通貨のリスクから企業を守るための方法をお伝えしていきます。
知識不足によるミスを防ぐ
仮想通貨のリスクは知識不足が招くことも多いです。仮想通貨に関する知識や経験が不足していることで思わぬ大損を招いてしまうことがあります。
送金先のアドレスを間違えて送り、多額の仮想通貨を失ってしまったり、SNSSNSの詐欺サイトに誘導されて仮想通貨を騙し取られてしまったりなど、色々なところに落とし穴がありますので、まずは慣れるまで少額の仮想通貨を利用して少しずつ仮想通貨の取り扱いに慣れ、知識を蓄積していくことをお勧めします。
セキュリティ対策を徹底的に行う
仮想通貨に限ったことではありませんが、基本的なセキュリティ対策を徹底して行うことも重要です。
具体的には、
✓複雑なパスワードを設定する
✓パスワードの保管方法に注意する
✓社員であっても気軽にパスワードを伝えない
✓公共のWi-Fiは利用を避ける
✓セキュリティソフトを利用する
などです。
セキュリティの意識が低いと横領や詐欺の危険性を高めてしまいますので、少しずつセキュリティ意識を高めていきましょう。
決済後は通常通貨に換金する
仮想通貨は、冒頭でも述べた通り、通常の通貨のような利用というよりは、まだ投資目的で売買されることが多く、価格が乱高下することも珍しくありません。
また、国家が定める法定通貨ではないため、国家の信用の後ろ盾もなくいつ破綻するか分かりませんし、仮に破綻したとしても何の保証もありません。
そのため、取引などで決済が完了したら、仮想通貨を売って通常通貨に換金することで価値の暴落などのリスクを避けることも考えていくべきでしょう。
安全な取引所を選ぶ
仮想通貨を取引する際は、資本力があってセキュリティ体制が整っている取引所を選ぶことも大切です。
取引所が行っているセキュリティ対策の例として、オフライン上で仮想通貨を管理して不正アクセスを防ぐコールドウォレットや、暗号化した通信によって、改ざんや第三者のなりすましを防ぐSSLSSL通信などの施策がありますので、これらの施策を行っている取引所かどうかを前もって調べておきましょう。
また、万が一のリスクに備えて、複数の取引所を使って資産を分散させておくのも有効かもしれません。
定期的に企業内調査を行う
仮想通貨に関してはまだまだ知識が蓄えられていないのが現状な企業も多いと思います。企業資産で仮想通貨を購入してみたものの、誰がどのように管理するのか、管理の安全性をどのようにチェックするのかなど模索中の企業も多いでしょう。
先述したように、仮想通貨は目に見えないもののため、慣れるまでは管理が難しく、仮に悪意を持った社員が仮想通貨を横領してしまっても被害に気が付きにくいというリスクがあります。
そのため、定期的に企業内調査を行い、不正が行われていないか、管理体制のセキュリティは万全かどうかを見直す機会を設けることをお勧めします。企業内調査に関しては仮想通貨やネットトラブルに強い探偵や調査会社に相談してみると良いでしょう。
まとめ
今回は仮想通貨を企業で導入する際のリスクや危険性、そして仮想通貨の危険性から会社を守るための対策方法について解説してきました。
仮想通貨には価格の暴落や詐欺被害、企業内での横領に気が付きにくいなど、さまざまなリスクが存在する一方でメリットも大きいため、賢く、そして慎重に導入を進めていくのが良いでしょう。
そして、万が一仮想通貨を使っていて横領や詐欺被害にあった場合は、すぐに調査を開始して被害を最小限に食い止めることが重要です。