新型コロナウイルスの影響で、会社の経営状況が悪化し、社員を辞めさせなければならない局面に陥っている会社経営者の方は多くいらっしゃるでしょう。

できれば辞めさせることはしたくないけれど、会社や家族を守るためにやむなく退職してもらうケースは増えています。 会社としてできる限りのことをしたつもりでも、辞めた社員が逆恨みして会社に嫌がらせをしてくる被害は後を絶ちません。

そこで今回は、辞めた社員からの嫌がらせの相談事例をはじめ、嫌がらせ被害に対してどのような罪に問えるのか、嫌がらせを辞めさせるため必要な調査とはどのようなものか、詳しく解説していきます。

辞めた社員からの嫌がらせに悩む相談事例

辞めた社員から受ける嫌がらせには以下のような相談事例が多くあります。 同じような被害に遭われている場合はすぐにご相談いただければと思います。

・匿名で怪文書が送られてくる

・会社に無言電話がかかってくる

・ネットに悪評を書かれる

・ノウハウを持ち出して競業する

・機密情報を漏洩される

・顧客情報をライバル企業に転売される

嫌がらせを放置する危険性

会社経営が忙しくて嫌がらせにかまっている暇はない!と嫌がらせ被害を見て見ぬふりをして放っておいていませんか? しかし、辞めた社員からの嫌がらせはできるだけ早く解決したほうがよく、放置してしまうと様々なリスクが出てきます。

嫌がらせがエスカレートする

嫌がらせに対してきちんと対処し解決していかなければ、嫌がらせがエスカレートする可能性が高いです。 最初は匿名で誹謗中傷のメールが会社に届くくらいだったのが、誹謗中傷が書かれた怪文書が取引先にばらまかれたり、ネットに根も葉もない悪評を書き込まれたり、被害がどんどん大きくなってしまうリスクがあります。

他の社員にも危害が及ぶ可能性がある

辞めた社員からの嫌がらせは多くの場合、会社全体や社長をターゲットとしていますが、嫌がらせがエスカレートすると他の社員が標的にされてしまうケースもあります。 他の社員にも危害が加わる可能性が出てくると、恐怖から会社を辞める社員も出てきてしまうでしょう。他の社員への悪影響が出る前に対処する必要があります。

会社の評判や売り上げが落ちてしまう

嫌がらせの方法としてSNSやインターネット上で会社の誹謗中傷を書き込むケースも多いです。インターネットで誹謗中傷を書き込まれてしまうと不特定多数の人が会社の悪評を見てしまいますので、評判が落ちたり売り上げに悪影響が出てしまったりすることは避けられません。

また、最初は会社に直接嫌がらせの手紙を送っているだけでも、対応を怠ってしまうとSNSへの誹謗中傷を開始することも考えられますので、嫌がらせを放置するのはとても危険なのです。

あなた自身が精神的な病になってしまうことも

嫌がらせは直接暴力を受けるものではないので、甘く考えてしまう経営者の方も多いのですが、やはり一度は働いてもらっていた元社員から嫌がらせを受けることは精神的にダメージが大きいものです。

特に、嫌がらせを受ける期間が長くなればなるほど、精神的にも辛くなってしまいますので、最悪、うつ病などの精神病を患ってしまうリスクもあります。 怪文書くらいだからと嫌がらせを甘く考えず、早急に対処して解決することで、会社もあなたの心も守ることができます。

辞めた社員の嫌がらせに対してどのような罪に問える可能性があるのか

辞めた社員からの嫌がらせは、程度や内容によって立派な犯罪となります。嫌がらせの犯罪に対してどのような罪に問うことができるのでしょう。 具体的に見ていきます。

名誉毀損罪

名誉毀損罪は公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する罪で、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられます。 不特定多数の人間に対して社会的な評価を下げる可能性のある具体的事実を公表している場合に成立します。

不正アクセス禁止法違反

辞めた社員が退職後に社内システムや社内データベースなどに不正に侵入し、パスワードを入手するなどした場合は、不正アクセス禁止法違反にあたります。 社内システムやデータベースには会社として重要な情報がつまっていますので、嫌がらせによって不正にアクセスされると被害は甚大なものになるでしょう。 不正アクセス禁止法違反になると3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

個人情報保護法違反

辞めた社員が退職後に社内データベースに侵入し、顧客情報を不正に取得し、さらに顧客情報を悪徳業者に転売するなどの嫌がらせをした場合は、個人情報保護法違反に該当します。 これに該当するとされると1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

住居侵入罪

会社に嫌がらせの張り紙をするために不法に侵入したり、盗聴器や隠しカメラを設置する目的で会社に侵入したりした場合は、住居侵入罪にあたります。また、侵入する際に建物を傷つけたり、盗聴器や隠しカメラを設置するために、会社の建造物に傷をつけたりした場合は、器物損壊罪とされます。

住居侵入罪の場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金、器物損壊罪の場合は3年以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは科料とされています。

有線電気通信法違反

嫌がらせを行うために、社内に設置されている電話機に盗聴器を設置して、企業秘密を含めた会話を盗み聞きしたような場合は、有線電気通信法違反と判断されます。 この場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。

損害賠償請求

辞めた社員からの嫌がらせによって取引先との取引を拒否されるようになってしまったり、嫌がらせによって売り上げが下がったことを証明出来たりする場合は、損害賠償請求することも可能になります。

刑事罰で訴えられない場合は民事責任を追及して損害賠償請求することも検討してみましょう。 その際は、探偵などに犯人を特定するための証拠を取ってもらい、弁護士に手続きを依頼して損害賠償請求を進めていくといいでしょう。

嫌がらせ被害を止めるためには犯人特定のための調査が重要

辞めた社員の嫌がらせ被害を食い止め、損害賠償請求や刑事罰で訴えるためには、元社員の不正行為の証拠を固めることが何より重要です。 そして、そのような証拠を集めるための調査はプロの探偵に依頼するのがベストです。

探偵による調査は素行調査がメインになります。素行調査は個人でもできなくはないのですが、調査方法やスキルなどの面でリスクが大きすぎるため、専門家に依頼した方が効率的かつ安全なのです。

探偵による辞めた社員の素行調査

素行調査は、犯人の可能性のある特定の人物についての調査で日頃の行動を徹底的に調べる方法です。 素行調査においては、尾行や張り込み、関係者などへの聞き込みによって、犯人の可能性のある人物が「いつ・どこで・誰と・何をしていたか」を調べ上げます。

尾行や張り込みを行う際は、ターゲットにバレないために専門的なスキルが必要になりますので、素人で行うのはやはりリスクが大きすぎると言えるでしょう。

素行調査で得られる情報

プロの探偵が行う素行調査では、辞めた社員の普段の行動はもちろん、交友関係や生活状況などのプライベートな内容まで、調査結果として掴むことができます。 他にも以下のような情報を得ることができますので、嫌がらせの犯人なのかどうか、動機は何だったのかなどを把握し証拠として法的手段を取る際に使うことができます。

・退職した理由

・退職後の勤務先

・現在の勤務先での役職

・現在の生活状況

・辞めた社員の交友関係

・交友関係のある人物との会話

・自社の社員との接触の有無と会話

・会社に損害をもたらすような噂を流しているかどうか

・会社に損害をもたらす内容の書き込みをインターネット上でしているかどうか

・会社内へ不法侵入したかどうか

辞めた社員の素行調査はプロの探偵に依頼すべき

辞めた社員による嫌がらせを解決するためには、素行調査を行うことが有効だとお伝えしましたが、探偵に調査を依頼すると費用がかかってしまうので気が引けるという方も多いかと思います。

費用をかけないために自分たちで素行調査を行おうと考えている方もいらっしゃるかと思いますが、やはりリスクを考えるとプロの探偵に依頼することをお勧めします。 素人が素行調査を行うデメリットやリスクについて詳しく見ていきましょう。

証拠能力の高い証拠を得るのはかなり困難

素人が素行調査を行うと、どうしてもターゲットにバレてしまいやすくなります。もしもターゲットが調査されていることに気づいてしまったら警戒されてしまい行動が慎重になり、証拠が集めにくくなってしまうでしょう。

また、素行調査を素人が行うと、せっかく苦労して集めた証拠も法的にみると証拠能力が不十分と見なされることも多々あり、かけた時間も労力も無駄になってしまいます。 法的手段を取って嫌がらせを解決するためには証拠能力の高い証拠を得ることが重要ですので、プロの力を借りたほうが賢明と言えるでしょう。

素人が行うと法令違反するリスクがある

素人が素行調査を見よう見まねで実行すると、法令違反になってしまうリスクが最も高くなります。 万が一、ターゲット本人が調査されていることに気づいた場合、プライバシーの侵害や名誉毀損として逆に訴えられかねないのです。

また、自分たちで尾行や張り込みをした場合は、つきまとい行為として「ストーカー規制法違反」として告訴される可能性が大いにあります。 探偵に依頼すれば、法令遵守して行う素行調査なので、ストーカー規制法違反にはなりませんので、安心して調査を任せることができるのです。

まとめ

辞めた社員からの嫌がらせは、経営者として精神的にもとても辛いですよね。一緒に働いていた社員なのに会社に実害を及ぼすようになってしまってはショックも大きくなるでしょう。

嫌がらせ問題をしっかりと解決し、今までのような会社経営を取り戻すためには、きちんと証拠を取って犯人を特定することが重要になります。 刑事罰や民事的責任を追及するためには、より確実に証拠能力のある証拠を得る必要がありますので、素行調査はプロの探偵事務所に任せることをお勧めします。