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会社を経営している立場からすると、真面目に働いてくれない社員や、不正行為を繰り返す社員、不当に残業代を請求してくるような社員はできればいてほしくないと思ってしまいますよね。

 

不良社員を抱えていることは、会社にとって不利益でしかありませんし、真面目に働いてくれている社員に悪影響を及ぼす危険もありますので、解雇したいと考えている経営者の方も多いはずです。

 

しかし、不良社員であっても日本の法律は労働者に有利に作られているため、安易に解雇することは危険で、逆に会社のリスクが大きくなってしまいますので、不良社員への対応は慎重に進めていかなければなりません。

 

今回は、不良社員に手を焼いている経営者のために、解雇するのが正当であると証明するための方法や、解雇が不当だとされてしまう状況、そして、不良社員をより確実に、より安全に解雇するためになぜ探偵の素行調査がお勧めなのかという理由について詳しくお伝えしていきます。

 

 

不良社員であろうと社員を解雇するのは難しい

労働基準法には、解雇についてのルールが定められていて、それはかなり労働者側に手厚くなっています。

 

よく、ドラマなどで「君はクビだ!もう明日から来なくてもいい!」と簡単に解雇しているシーンを見かけますが、現実世界ではあのように解雇することはほぼ不可能で不当解雇とされてしまいます。

 

労働基準法では、

✓就業規則と労働契約書に解雇事由をあらかじめ示す必要がある

✓客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は解雇が認められない

とされています。

 

つまり、不良社員であろうと一人の社員を解雇することはかなり難しいということを理解しておくことが大切です。

 

 

解雇が相当と認められるのはハードルが高い

たとえば、勤務時間中にもかかわらず居眠りをしたりパチンコに行っていたりという職務怠慢をしている社員を解雇したいと思っているとします。

 

職務怠慢は、就業規則違反として規定されている場合、債務不履行として論理的には「解雇事由」に該当しますので解雇できるように思われます。

 

しかし、解雇事由に該当している場合であっても、必ずしも職務怠慢が「社会通念上解雇に相当する」として法的に認められるとは限りません。

 

解雇した場合、その時点で労働者は職を失い、収入源を失ってしまうことになりますので、労働法では、労働者の生存権を保障するために安易な解雇処分は原則的に認められないのです。

 

法的に正当であると認められないまま解雇をしてしまうと、原則として解雇は無効とされて会社側は解雇したい社員にも、給料を支払い続けなければなりません。

 

職務怠慢を繰り返すような不良社員を解雇したい場合でも、いきなり解雇という選択を取ることは会社にとって極めて危険ですので、「戒告(=厳重注意)」「けん責(=始末書処分)」などの軽い懲戒処分を行いながら様子を見ていくのが安全です。

 

それと同時に職務怠慢の事実を客観的に証明できるような証拠を押さえていくことも必要です。そのためには、専門の探偵に素行調査を依頼する方法がベストでしょう。

 

 

安易な解雇は無効とされるリスクが大きい

職務怠慢など、会社にとってデメリットが大きい行動が目立っていて、何度注意しても改善されない場合に懲戒解雇をしたところ、不当解雇として訴えられたという事例は過去に数えきれないほどたくさんあります。

 

経営者からすれば、何度注意しても改善されないのだから解雇は当然だろうと思うかもしれませんが、法律的には正当な段階を踏まずにいきなり解雇したとされてしまいますので不当解雇として解雇が無効となる可能性が高いです。

 

懲戒解雇をする前に減給や降格などそれ以前の懲戒処分を検討していくことや、素行調査を行うことで「正当な解雇理由に値する怠慢の証拠」をしっかりと集めておくことで、訴えられるリスクが減りますし、もし万が一訴訟を起こされても会社を守ることが可能になります。

 

 

不良社員を解雇することが正当であると証明するには

ここまで見てきて、いくら不良社員であったとしても解雇することは容易ではないことがご理解いただけたかと思います。

 

では、解雇することが正当であると証明するにはどのようにすればいいのでしょうか。ここでは、法的にも解雇が有効と認められるための証明手段についてご紹介していきます。

 

 

債務不履行を示す

労働提供の債務不履行というのは、簡単に言えば、遅刻や無断欠勤などのサボりや過度の勤怠不良を指します。

 

社員は会社に勤務した時点で、会社に対して労務を提供するという義務を負っています。そのため、社員が正当な理由なく遅刻したり欠勤したりすることや、仕事をサボることで労務提供の義務を怠ると「労働提供の債務不履行」と見なされます。

 

この場合、以下の要件を満たしていれば、解雇が正当であると認めてもらえます。

 

✓欠勤や遅刻などの日数に有給休暇を割り当てても欠勤・遅刻日数として残る

✓欠勤や遅刻、サボりの事実が証明できる

✓勤怠不良や職務怠慢が就業規則の解雇事由として記載されている

 

遅刻や欠勤が目立つ社員に対して解雇を考える経営者の方が多いのですが、よくよく計算してみると有給休暇の日数以内で収まっているというケースがあります。その場合は解雇が正当であるとみなされないため、その部分の計算はしっかりとしておきましょう。

 

また、勤怠不良であることを具体的かつ客観的に証明できる証拠を集めておくことで、解雇が有効であると認めてもらいやすくなります。

 

 

違法行為や過失を示す

所属している社員が法的な罪を犯した場合、会社は犯罪行為や違法行為を理由に解雇することができるとされています。ただし、就業規則に以下の内容を解雇事由として明記していることが必要となります。

 

✓故意または重大な過失によって会社に重大な損害を与えた

✓刑事事件で有罪の判決を受けた

✓会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなった

 

この場合も職務怠慢の場合と同様に、犯罪行為や違法行為を行っているということを証明できる証拠が必要となります。いずれにしても不良社員に対しての素行調査は必須と言えるでしょう。

 

 

就業規則違反を示す

不良社員を正当に解雇するために、就業規則違反を示す方法もあります。社員が就業規則違反の行為をしていて、さらに就業規則に解雇事由として記載されていれば、理論的に解雇は可能となります。

 

就業規則違反の例としては、「採用される際に重大な経歴詐称をしていた」「立場を利用して無理矢理交際や性的関係を強要した」「会社の物品や施設を許可なく利用した」などが考えられます。

 

ただ、就業規則違反であったとしてもさらに次の要件を満たしていることも求められます。

 

✓反省や改善を求めたにもかかわらず、改善されなかった

✓就業規則違反を繰り返していて、その都度、戒告、減給、出勤停止と懲戒処分を段階的に行っている

✓就業規則の規定違反行為があった事実を証明できる証拠がある

✓就業規則の解雇事由として記載されている

 

 

このような解雇をしたら不当解雇として訴えられてしまう恐れも…

社員を解雇する場合、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない解雇の場合は、会社が解雇権の濫用をしていると判断され、解雇が無効になってしまう恐れがあります。

 

解雇した社員から不当解雇だと訴えられてしまえば、事実がいかなるものであったとしても、「社員から不当解雇だと訴えられている会社」として企業イメージが下がり会社の信用を失ってしまうことは避けられないでしょう。

 

では、どのような解雇をすると不当解雇とされる可能性があるのでしょう。

 

 

仕事をサボっているという報告を受けた

複数の社員から「●●さんが勤務時間中の外回りでパチンコに行ってサボっている」という報告を受けたとします。複数の報告を受けているのであれば恐らく本当の事ではあると思われますが、報告レベルでサボっていることが証明できていないのであればこの段階で解雇すると不当解雇とされてしまうでしょう。

 

もしこのような報告を受けた場合、それを鵜呑みにするのではなく、きちんとその社員を調査して、勤務時間中にどこに行っていて、どれだけの時間をそこで過ごしているのかという証拠を掴むことが必要です。

 

仕事をサボっているということを客観的証拠として掴まなければ、解雇の正当性を認めてもらうことは難しいのです。

 

 

反社会的勢力とつながりがあると告発があった

多くの会社において、就業規則で反社会的勢力を排除する旨の規定が記載されていますので、反社会的勢力とのつながりが証明できれば解雇事由とすることは可能です。

 

しかし、そのような内容の告発だけでは解雇事由とみなすことはできません。こちらについてもしっかりと調査を行い、本人が反社会勢力に加担しているという事実を立証して初めて解雇が認められることになります。

 

 

不良社員を確実に解雇するには探偵による素行調査実施がお勧め

不良社員であろうと解雇するためには、法的に解雇が妥当だと認めてもらえるよう客観的な証拠を用いて証明していくことが何よりも重要になります。

 

そして、不良社員の解雇事由を証明するために、決め手となる証拠はプロの探偵が行う素行調査で収集するのがお勧めです。

 

素行調査は不良社員について「いつ・どこで・誰と・何をしたか」について徹底的に調べていくので、解雇が妥当だとできる社員の問題行動を具体的かつ客観的に証明していくことができます。さらに、素行調査によって得られた証拠は、万が一不当解雇として訴訟に発展してしまった場合にも、会社を守るための資料として裁判で活用することが可能です。

 

 

探偵の素行調査では何がわかる?

不良社員の調査で証拠を集めることが大切だということはご理解いただけたかと思いますが、探偵に素行調査を依頼する必要性ってあるのかな?と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

 

普段探偵に調査を頼むことはほとんどないと思いますので、探偵という存在についても不安があると思いますし、どのような調査をしてくれるかイメージしにくいですよね。

 

探偵が行う不良社員に対しての素行調査では、ターゲットである社員が自宅を出てから出勤し帰宅するまで、もしくは勤務時間中に外回りなどで外出してから帰社・帰宅するまでの間に行われます。

 

探偵に素行調査を依頼することで以下の内容が特定され、証拠として写真や映像で記録されます。

 

・ターゲット社員が出勤のために自宅を出る時間

・通勤ルート

・勤務時間と退勤時間

・勤務時間中に外出する場合の立ち寄り先

・外出中の立ち寄り先での滞在時間

・勤務時間中の外出先で接触した人物

・ターゲット社員の普段の交友関係

・ターゲット社員のプライベートに関する情報

 

素行調査は基本的に尾行と張り込みで行っていきます。もちろん、プロの探偵が調査にあたりますので、尾行中や張り込み中にターゲットにバレるリスクを極限まで下げることができます。

 

尾行も張り込みも2名以上の調査員で行いますので、移動手段が徒歩、車、電車などあらゆるものを使っていても見失うリスクも少ないです。調査には撮影機器も持ち歩くため、決定的な瞬間があれば逃さず証拠として押さえることが可能です。

 

探偵事務所の素行調査であれば、ターゲット社員の行動に関する具体的な記録や証拠写真が調査報告書として提出されますので、いざ解雇するとなったときの解雇事由を立証する証拠として活用できるでしょう。

 

 

自社内で調査するより多くの証拠が手に入る

探偵事務所に素行調査を依頼すると費用がかかってしまうので、不良社員についての調査は自社内で行おうと考える方もいらっしゃるのですが、あまり自社での調査はお勧めしません。

 

素行調査を自社で行うことは不可能ではないのですが、自社で実施する場合、様々なリスクを伴いますし、調査できる範囲も限られていますので、時間と労力をかけた割にはたいした証拠を手に入れられなかったという結果を招きかねません。

 

自社の社員でターゲットを尾行するとなれば通常の業務に大きな支障をきたしてしまいますし、尾行の訓練を受けているわけではないのでターゲットに気づかれて調査が失敗に終わる可能性も大きいです。

 

また、決定的な瞬間を証拠として写真や映像に収める必要がありますが、撮影技術がないために証拠能力のないものしか撮影できないという可能性もあります。

 

不良社員を解雇するためには客観的な証拠が必要ですので、調査の専門家集団である探偵事務所に任せた方が安心でお勧めです。

 

 

まとめ

会社はボランティアで行っているわけではなく、営利目的で運営しているものですから、会社に不利益をもたらす不良社員はできるだけ早く解雇したいと思うのが当然でしょう。

 

しかし、今回ご紹介したように、社員を解雇することは簡単なことではありません。より確実に不良社員を解雇するためには、解雇事由を就業規則に記載しておくことと同時に、解雇事由が事実であるということを証明しなければなりません。

 

そのため、解雇の手続きに入る前に、探偵事務所に素行調査を実施してもらい、不良社員の問題行動や不正行為の証拠を確実に集めておくことが重要なのです。

 

解雇した後になって社員から不当解雇として訴えられないよう、また、会社が不利な状況に陥らないよう、信頼できる探偵事務所に素行調査を依頼し、証拠を固めておくことをお勧めします。