会社に対して悪意を持つ従業員が、他の社員も転職させようとしている・・・。
悲しいことに、よく聞く話ですね。
いわゆる「引き抜き」です。
企業にとって、働く人達は重要です。
もし、社内で引き抜きの噂が立っているなら、不安になることでしょう。
「損害賠償は請求できる?」
「引き抜きに気付いたら、どうすれば良いのか?」
と、疑問もありますよね。
この記事では、「引き抜き」について基礎知識をまとめました。
会社と社員を守るため、不審な動きに気付いたら迅速に調査を依頼しましょう。
「引き抜き」とは?:大切な社員が転職してしまう
「引き抜き」は、優秀な人材を集める手段の一つです。
現在契約している収入などの条件より、さらに良い条件を提示し、自社に転職するように仕向けます。
主なパターンは3つです。
①退職した従業員が起業し、誘う
②退職した従業員が同業他社に転職し、誘う
③企業が他社の従業員に対して、誘う
なぜ「引き抜き」が行われているかというと、教育コストを下げるためです。
一般的に、新人が高いパフォーマンスを出せるようになるまで、時間・お金・手間がかかります。
他社で良い成績を出している人がいるなら、誘ったほうが早いのです。
優秀なのは証明されていますし、人間性も分かります。
効率的で、リスクを下げることにつながりますね。
しかし、「引き抜き」にはトラブルが多いのです。
「引き抜き」は違法?:違法ではないが、損害賠償の請求も
日本国民は、法律によって職業選択の自由が守られています。
日本国憲法第22条第1項で、
「何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と書かれているのです。
一方で、企業の多くは、従業員に誓約書を署名させていると思います。
内容として、退職後も一定期間は同業他社に就職することを制限したり、同業で起業することを禁止する旨がほとんどでしょう。
ある程度有効ではあるのですが、実は法的な効力はありません。
「引き抜き」は違法ではないのですね。
だとすれば、「引き抜き」が行われた際には、泣き寝入りをするしかないのでしょうか。
「従業員が引き抜かれた・・・。」という話は珍しくありません。
しかし、先述したとおり違法ではありません。
たとえ、「引き抜き」が原因で会社の経営が傾いたとしても、何も出来ないのでしょうか。
安心してください。
場合によっては、損害賠償が請求できます。
有名な事例を1つ紹介します。
引き抜き20名超え「ラクソン事件」
過去には、大がかりな「引き抜き」が発生しました。
「ラクソン事件」と呼ばれています。
英会話教材販売会社の営業本部長が、新人営業24名をライバル会社に転職させたのです。
この部長とライバル会社は綿密な計算を行い、引き抜かれた側に計画を気付かれないまま進めていきました。
裁判では、会社の規模を考えれば大きなダメージになり得ること、そして分かっていながら何も伝えなかったことは、極めて背信的だと判断されました。
1カ月分の粗利益減少分の損害賠償が認められたのです。
「引き抜き」に気付いたらどうする?:プロに調査を依頼
「なんだか、会社の雰囲気がおかしい。」
「従業員がざわついている。」
そんな風に感じたら、影で「引き抜き」が行われていないか確認しましょう。
プロに企業調査を依頼するのです。
会社内で聞き取り調査をすると、尻尾をつかめない場合もあります。
業者に調査を任せ、内容証明郵便等で警告をしましょう。
以下のような情報を集めておけば、法的に裁くことも可能ですよ。
チェックポイント①誰が行っているのか?
「引き抜き」をしている張本人を見つけ出します。
一人なのか、グループなのか、競合会社と組んでいるのか、確認します。
チェックポイント②誰に対して行っているのか?
勧誘された社員の地位・役職をチェックします。
より上位の地位であれば、会社にとって重要な人物であり、影響が大きいはずだからです。
また、人数もカウントします。
多ければ多いほど、経営に支障をきたしますよね。
チェックポイント③いつ行っているか?
「引き抜き」をしていたのは、在職中か退職後かを明らかにします。
いずれにせよ、職場の人間関係を利用している点は共通していますね。
会社の多忙な時期を狙っているのであれば、悪意として認められる場合もあります。
チェックポイント④どんな言葉を使っているか?
勧誘フレーズを録音できるとベストです。
「会社の経営状態が良くないらしい。」
「次のボーナス、カットされるって。」
など、虚偽の情報を告げていないでしょうか。
ネガティブな言葉なら、従業員の不安を煽り、会社のイメージダウンにつながります。
顧客の信頼にも関わってきますね。
転職の対価として金銭を与える場合もあります。
まとめ
会社に多大な影響を与える、「引き抜き」。
悪意が認められれば、損害賠償も請求できます。
「引き抜き」とは?:大切な社員が転職してしまう
「引き抜き」は違法?:違法ではないが、損害賠償の請求も
「引き抜き」に気付いたらどうする?:プロに調査を依頼
そのために、しっかりと証拠を集めるのが重要です。
張本人を見つけ出し、それなりの対応をしなければいけません。
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