クリーンエネルギーは国が推進しているエネルギー源で、国定価格で買い取れる制度があることから投資にも目が向けられ、近年とても注目を浴び始めています。
しかし、その注目度の高さを利用してクリーンエネルギーに関連する詐欺被害の相談が国民生活センターに多数寄せられるようになってきているのも事実です。 クリーンエネルギーへの投資は個人だけでなく、企業として大規模的に取り組んでいる会社が増えてきていることから、今まで以上に詐欺に注意していく必要があるでしょう。
今回は、クリーンエネルギー詐欺の中でも被害が拡大している太陽光発電に関連した投資詐欺の主な手口や、詐欺に遭ってしまった時の対処法、そして投資詐欺に遭わないためにできることを解説していきます。
クリーンエネルギーとは
まずは、そもそもクリーンエネルギーとはどのようなものなのか、見ていきましょう。 クリーンエネルギーとはエネルギーを生成するときに二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないOR排出量が少ないエネルギー源で、再生可能エネルギーともいわれているものです。
注目されていて、身近なものとしては、太陽光発電が挙げられるでしょう。これは国内で生産できるものなので、石油や天然ガスの生産ができない日本にとっては海外の化石燃料資源に頼らなくても生産できるという意味で、重要な低炭素のエネルギー源と言えるのです。 太陽光発電の他にも、風力発電や水力発電、バイオマス発電などがクリーンエネルギーとして挙げられます。
なお、原子力発電も二酸化炭素を排出しないため、クリーンエネルギーに含まれるという考え方もありますが、事故が起こった時に深刻な被害をもたらすと言うことが明白ですし、放射性物質の処理も問題になっているという理由からクリーンではあるが安全なエネルギーとは言えないと議論をされています。
今回は、クリーンエネルギーの中でも投資に使われやすく、多くの会社で投資先として注目されている太陽光発電の投資に着目して詳しく解説していきたいと思います。
クリーンエネルギー詐欺が横行してしまう理由
太陽光発電に関するクリーンエネルギー詐欺は近年特に相談件数も増えていて深刻になってきていますが、なぜクリーンエネルギー詐欺が横行してしまっているのでしょうか。
その理由として考えられるのは
・購入価格が定まっていない
・投資商品としてのノウハウの認識が広まっていない
・頻繁に買う商品ではないので経験が生かせない
の3つが主に挙げられます。
太陽光発電自体は長い歴史を持っており、実際に街中でソーラーパネルを見たことがある人も多いでしょうし、自分の家で太陽光発電をしている方もいらっしゃるかもしれません。太陽光発電をされている方であれば、自家発電した太陽光のエネルギーを収益化できることを知っている人も多いでしょう。
しかし、太陽光発電の市場が急速に成長する一方で投資商品としての太陽光発電の歴史はまだ10年も経っていないのです。そのため、投資家の中で情報格差が大きく、詐欺師にとっては漬け込みやすい状況になってしまっているのです。 詐欺師に騙されないようにするためには、まず投資詐欺の手口や見分け方についての知識を付けておくことが重要です。次の章ではクリーンエネルギー詐欺の主な手口について解説していきます。
クリーンエネルギー詐欺の主な手口
クリーンエネルギー詐欺に限ったことではありませんが、詐欺は「事実とは異なる嘘の説明で信用させて契約をさせる」という手口や「架空のファンドへの投資を持ちかける」という手口が使われることが多いです。
実際よりもかなり水増ししたシミュレーションを見せて儲かると思いこませたり、メンテナンス不要などメリットばかり見せて説明したりして契約させるのです。
また、架空の太陽光発電ファンドへ出資しても出資金をだまし取られるばかりで配当金はもらえません。仮に、太陽光発電の用地がある投資案件であったとしても、油断は禁物です。出資する先が信頼できる母体であるかどうかをしっかりと確認する必要があるのです。 この章では、クリーンエネルギー詐欺のよくある手口についてみていきます。
「メンテナンスが必要ない」という嘘
クリーンエネルギー詐欺でよくある手口として、メンテナンスの必要がないなどのメリットばかりをアピールして契約させるものが挙げられます。
しかし、収益化を見込むためのエネルギーを得るためには、太陽光パネルの定期的なメンテナンスは必要不可欠です。 そして、適切なメンテナンスをして設備を良好な状態に保ち、狙った発電効果を出すためには、正しい専門知識や経験を持っている業者を使わなければいけません。 太陽光パネルなどの機材の定期的なメンテナンス作業を怠れば汚損や故障を招き発電効率が落ちるだけでなく、火災や故障の原因にもなりかねません。
しかし、詐欺行為を行う悪徳業者は「メンテナンスが必要ない」などの噓の説明をしてメンテナンスの必要性の説明を一切行わないため、結果として発電できずに大きな損失を被ってしまいます。 さらに悪徳な詐欺師の場合は、適当なメンテナンスを行って高額なメンテナンス費用を請求して長期にわたって詐欺を働くこともあります。
自然災害のリスクを説明しない
太陽光発電で投資を行う上で、自然災害のリスクを把握して備えておくことは重要なことです。地震や豪雨などが原因で架台や太陽光パネルが傾いてしまうことは十分に考えられます。
太陽光発電投資において、太陽光パネルの角度は狙った発電量を得るために非常に重要なポイントですし、架台が傾いた状態ではいつ事故が起こるとも限りません。 そのため、自然災害のリスクを管理するうえで賠償責任保険に加入するなどの対策は必要不可欠ですが、詐欺師の場合は当然そのようなリスクの説明はしませんし、リスクの説明をしたとしても保険への加入を代行するふりをして、保険料のお金だけを持ち逃げするケースもあります。
高額な工事費の請求
太陽光発電は何度も導入するものではないので、パネルの設置などの初期費用の相場を知らない方が多いでしょう。規模によっても初期費用に大きな差が出てきますので、知人に聞いても相場として把握することは難しいのです。詐欺師はそれを逆手にとって、相場の倍以上もの工事費の請求をしてくることがあります。
実際に太陽光発電システムの設置工事も行い、太陽光発電の売電も開始されているため、投資する側としては疑うきっかけもなくそのまま騙されて高額な工事費を支払ってしまうことが多いのです。 太陽光発電の初期費用についての一般的な相場を知ることは難しくても、実際に見積もりをもらえば確認できます。
1つの業者の高額な工事費を鵜呑みにしないよう、前もって複数の業者に頼んで工事費の見積もりをもらって比較することでこのような手口の詐欺は回避できるでしょう。
モニター価格とだまして契約させる
詐欺には「モニター商法」と呼ばれる詐欺手法も多く使われています。太陽光発電の投資詐欺においても「太陽光発電のモニターになってもらう代わりに投資を安くできる」と勧誘して契約をさせるケースもあります。
モニター商法での詐欺は、モニター価格と称してあたかも割安で購入できるかのように見せていますが、実際は相場より高い価格が提示されています。
この詐欺手口も初期費用などの相場を知らないことに漬け込んで詐欺を働こうとしているため、詐欺師が提示する金額を鵜吞みにしないことが大切です。 そもそも、太陽光発電がそれなりに普及している現在となってはモニターを持ちかけてくる時点で怪しいと思った方がいいでしょう。
契約後に計画倒産
かなり悪質な詐欺の手口としては、太陽光発電システムの設置費用を支払わせた後に詐欺業者が計画倒産して、行方をくらますというものです。
この手口は、お金をだまし取った後に逃げることが前提のため、明らかに詐欺行為なのですが、倒産が計画的だったのかどうか立証することは難しく、結果的に詐欺行為も証明するのが難しいことが多いです。
この手口の詐欺被害に遭ってしまうと支払ったお金を取り戻せないまま、泣き寝入りしてしまう人も少なくありません。 泣き寝入りしないためには、クリーンエネルギー詐欺としてこのような手口が横行していることを頭に入れておき、契約する前に相手企業についての信用調査をしっかりと行っておくことが欠かせないでしょう。 高額の契約をする場合は、相手企業の経営状況や取引実績などの専門的な調査を企業調査実績のある調査会社に依頼することをお勧めします。
クリーンエネルギー詐欺に遭ってしまったときの対処法
クリーンエネルギー詐欺が横行している現状においては、自分が被害者になってしまう可能性は十分にあります。 万が一詐欺被害に遭ってしまった場合、どのような対処法が考えられるのでしょうか。
クーリングオフをする
まずはクーリングオフを検討しましょう。クーリングオフとは、契約をした後であっても一定の期間内であれば無条件で契約の撤回や解除ができる制度のことです。
クーリングオフが可能な期間は訪問販売の場合、契約日から8日以内であれば可能です。ただし、設置工事完了後はクーリングオフをするのが難しくなりますので、この記事を読んで少しでも不安が残る場合などは契約した後でも施工を先延ばしにするようにしましょう。
また、8日を過ぎてしまった場合であっても、強引に契約させられた場合など一定の条件を満たせた8日を過ぎてもクーリングオフできる場合がありますので、弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。
弁護士などの専門家に相談する
詐欺師から「必ず儲かる」「リスクはない」など嘘の説明をされて契約した場合は、「不実告知」となり契約そのものの取り消しが可能になることがあります。弁護士などの法律の専門家に相談することで違法な契約として契約解除ができるケースも多いです。
ご自身だけで解決しようとすると、業者とトラブルになる可能性が高いので、無理をせず弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
詐欺である証拠を掴む
契約した悪徳業者の詐欺行為を証明して訴える場合は、詐欺であると言う証拠を掴む必要があります。そのためには、調査会社や探偵事務所に依頼して、過去の詐欺行為や、業者の実態について調査してもらうという対処法が考えられます。
詐欺被害に遭った段階で警察に相談してもなかなか動いてはくれませんが、詐欺行為であるという確固たる証拠を提示すれば詐欺罪として訴えることができ、警察も立件してくれる可能性が高くなります。 なお、調査会社を選ぶ際は企業調査や詐欺調査に精通している会社を選ぶことが重要です。
クリーンエネルギー詐欺に遭わないためにできること
太陽光発電をはじめとしたクリーンエネルギーへの投資は多くの企業や個人の投資家が目を付けている分野であることは確かです。 クリーンエネルギー詐欺が横行しているからといって投資自体を諦めるのはもったいないです。
クリーンエネルギー詐欺被害に遭わないために注意すべきポイントとしては、
・クリーンエネルギー投資についての知識を身に着ける
・専門業者に依頼して投資先の業者の実態を調査してもらう
・取引業者を吟味する
などに気をつけることが大切です。
特に投資先の業者については信頼できる風を装っていることが多く、一見投資しても大丈夫だと思い込んでしまいがちなので、客観的に判断でき業者についての実態を調査してくれる調査会社に相談することがお勧めです。
住所が実在するのか、法人登記されているのか、経営者の経歴はどうなのか、経営状況はどうなっているのか、倒産の可能性はないのか、などの調査を依頼しておけばその業者が本当に信頼できそうかどうかの判断がしやすくなるでしょう。
まとめ
クリーンエネルギー詐欺に限らず、企業として何かに投資する際には相手の企業が詐欺業者ではないかどうかの判断がとても重要になります。
投資詐欺に遭わないためには事前に取引先となる業者についての信用調査を行っておくようにしましょう。安心して投資を行えるよう、自分の納得のいくまで信頼できる投資先を探していくといいですね。