社員や会社がSNSを利用している場合、いつどのタイミングでSNS上の不適切発言が起き、炎上トラブルにつながってもおかしくありません。どの企業、どの従業員にも起こりうることです。

 

会社をSNSトラブルから守っていくためには、防止策としていろいろな対策をしていくことが重要です。

 

今回は、SNSトラブルが起きてしまったときの企業リスクやSNSトラブルを防ぐための具体的な防止策、うまく活用すればより高いトラブル防止効果を発揮する外部サービスについて解説していきます。

 

従業員のSNS投稿で炎上トラブルが起きてしまう理由

企業が被害を受けるSNSトラブルは多くの場合、従業員が個人のSNSアカウントで不適切な発言をしてしまうことから始まります。

 

本人が「不適切である」と認識していながらわざと投稿しているケースもあれば、一見「不適切」とは感じられなかったり本人は「不適切」だと認識していないけれど、関係する人が見れば大問題になってしまうケースがあります。 これらの原因としては、投稿者である従業員のSNSモラルやSNS情報リテラシーが欠けていることが挙げられるでしょう。

 

「自分の投稿はそこまで多くの人が見ているわけじゃないから大丈夫」「公開範囲を制限しているから問題ない」と甘く考えていることも、SNS炎上トラブルを招く原因です。

 

従業員個人アカウントや公式アカウントでSNSトラブルが起きた時のリスク

SNSトラブルは従業員の個人アカウントからも会社の公式アカウントからも起こりえますが、いずれにしてもSNS炎上トラブルが起きたときのリスクについてはしっかりと把握しておかなければなりません。 考えられるリスクについては以下の5つが考えられます。

 

会社の信用が失われる

SNS炎上トラブルが起きたら会社の信用問題につながることは避けられません。 会社としてはSNSトラブルに巻き込まれた被害者だと感じると思いますが、世間一般の人は炎上を起こしている問題のある会社として見ています。 会社の信用は失われ、会社の商品やサービスで不買運動が起きて業績に大きなダメージを与える可能性もあります。

 

取引停止の可能性

取引先が「この会社と取引していると、うちまでSNS被害を受けるかもしれない」と判断してしまうと取引が停止される可能性があります。 取引規模によっては、業績に大きな悪影響を与えてしまいます。 そして、関りがあること自体を避けたいという取引先を引き留めるのはかなり難しいです。

 

批判やクレームが急増する

SNS炎上の規模にもよりますが、批判やクレームが殺到し、会社の対応窓口がその対応に追われてしまうと、本来の業務であるクライアントや取引先、ユーザーからの問い合わせに対応できなくなってしまい日常業務に大きな支障が出るという事態も想定されます。

 

商談が進んでいる時期にSNS炎上が起きてしまい、商談が滞ってしまうと機会損失にもつながります。

 

損害賠償請求を受ける可能性

SNS炎上の原因には様々ありますが、顧客や取引先の情報が漏洩したためにSNS炎上が起きてしまった場合、損害賠償請求をされる可能性があります。 さらに、多くの顧客情報が漏洩した場合は数百人以上の規模で損害賠償請求をされるリスクさえあるのです。

 

採用力が低下する

SNS炎上が起きてしまうと、採用に悪影響が及ぶことも十分に考えられるリスクです。SNS炎上トラブルが起きた会社に優秀な人材が集まることは考えにくく、新卒採用が困難になったり、現状の優秀な社員が離職希望を出したりという可能性も出てきます。 優秀な人材を確保できなければ会社の収益や安定性にも影響が及ぶでしょう。

 

従業員個人のSNSだけでなく会社の公式アカウントでも十分な注意が必要

SNS炎上トラブルは従業員個人のアカウントから発生することも多いですが、会社の公式アカウントでも油断せず注意していく必要があります。 どのような点に注意して運用していけばいいのでしょうか。

 

公式アカウントで避けるべき発言

公式アカウントは会社の顔にあたりますので、発言内容は慎重に選んでいかなければいけません。 どういう発言をしていくべきかももちろん大切ですが、避けるべき発言内容についても把握しておく必要があるでしょう。

 

以下のような内容の発言はセンシティブな話題なので、たとえポジティブな発言や注意したうえでの発言であったとしても炎上のきっかけになり得ますので避けたほうが無難でしょう。

 

【避けるべき内容】

・性的なものを連想させる投稿

・LGBTを含め、性差に関する投稿

・戦争や難民などの世界問題に関する投稿

・人種差別を連想させる投稿

・国の記念日や大きな事件があった日に投稿すること

・複数意見がある場合に、どれかに偏った内容の投稿

 

公式アカウントを運用する際の注意点

公式アカウントを運用する担当者は一人とは限らないですよね。そのため、公式アカウントを運用する際には、運用のルールやガイドラインを共有したり、使用する言葉使いについての認識を共有したり、投稿前には必ず他の担当者を含めて投稿内容を確認したりなど慎重に運用していくことが重要になります。

 

企業がSNSトラブルを防ぐために取るべき防止策とは

企業としては、SNS炎上のトラブルはできる限り避けたいと思うでしょう。

 

しかし、SNSについて詳しく把握している経営者の方やSNS担当者の方は決して多くはないというのが現状です。 では、SNSトラブルを防止するための施策としてどのようなことを実践していけばいいのでしょうか。

 

ここでは大きく分けて3つの防止策についてご紹介していきます。それぞれの防止策についてより詳しくは後の章で各項目についてさらに詳しく解説していきます。

 

ソーシャルメディアポリシーの作成

1つ目はソーシャルメディアポリシーの作成です。

 

ソーシャルメディアポリシーとは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを利用する際の企業方針を定めたガイドラインのことで、これを作成し、社内でしっかりと共有していくことでSNSトラブルを防止する効果があります。 ガイドラインに入れるべき項目や運用において気を付けるべき点については後の章で詳しくお伝えします。

 

従業員に対しての研修

SNSトラブルを防止するための施策として従業員に研修を行ってより深くソーシャルメディアポリシーを理解させる方法があります。

 

ソーシャルメディアポリシーは作成することももちろん大切ですが、それが浸透しなければ意味がありません。しっかりと定期的に研修を行い、社員たちに深く理解してもらうことが大切です。 なお、パートやアルバイトを多く採用している業種や企業では、SNSに関する研修は特に重要です。

 

このような業種や企業では、人材の入れ替わりが激しく企業の経営理念や経営方針などが全社員に浸透しにくいため、研修を行うことでそれを補っていく必要があるのです。

 

投稿の監視

投稿の監視とは、自社のサービスや会社の代表者名、企業名、キャンペーン名などの自社を表すキーワードがインターネット上で日々どのような評価を受けているかを定期的にチェックするという防止策です。

 

自社に関するキーワードがどのように評価されているか、評価に変化はないかを日々チェックしておくことで、炎上のリスクにいち早く気が付くことができます。

 

なお、投稿の監視は気付いた時にやるというのでは意味がなく、スキームをしっかりと決めておくことが重要です。いつ(毎日朝夕2回)、だれが(広報部で交代制)、どのキーワードを(企業名、社長名、商品名、サービス名など)、どのように監視し(1キーワードずつ検索エンジンで検索)、異変があればどのように社内に共有すべきかも決めておくといいでしょう。

 

防止策①:ソーシャルメディアポリシーの作成について

前の章でSNSトラブルを防止するための具体的な施策についてご紹介しましたが、より詳しくここからの章で一つ一つ解説していきます。 まずはソーシャルメディアポリシーの作成という防止策についてです。

 

作成の目的

ソーシャルメディアポリシーの作成がSNSトラブル防止策の第一歩であることはすでにお伝えしていますが、その重要性についてもしっかりと認識しておくことが大切です。

 

ソーシャルメディアポリシーを作成する目的は、ソーシャルメディアに関連したトラブルを未然に防ぎ、企業の利益や信用を守ることが第一です。 さらに、SNS運用の属人化を防ぐという目的もあります。公式アカウントは通常1名~3名ほどで運用していることが多いです。

 

中小企業においては1人の担当者が運用していることも珍しくないでしょう。そうなると、投稿内容がその人に属しすぎてしまい、トラブルが起きたときに対応しきれなかったり、個人の勝手な判断で対応してしまったりという問題も起きてしまいます。 ソーシャルメディアポリシーを作成しておくことで、このような属人化も防ぐことができるのです。

 

入れるべき内容

ソーシャルメディアポリシーで入れるべき項目としては以下の内容が代表的です。

 

・基本方針や原則

 

・機密情報の保護

自社経営に関する情報や非公開情報、従業員・顧客の個人情報などの情報をソーシャルメディアで発信しない

 

・第三者権利の保護

他人の著作権や肖像権、商標権などの第三者の権利を尊重する

 

・顧客や取引先等の情報の保護

顧客や取引先を特定できるような情報をソーシャルメディアで発信しない

 

・透明性の確保

やらせの禁止、事実の表明など

 

・誹謗中傷の禁止

名誉毀損、侮辱、差別にあたるような発信をしない

 

・真偽がはっきりしない内容の情報の発信禁止

事実かどうかはっきりしない情報をソーシャルメディアで発信しない

 

・自社情報に関する発信のルール

自社に関する情報をソーシャルメディアで発信する場合は、投稿時の文面やタイミング、投稿するソーシャルメディアの選択ついて、管轄部署の指示に従う

 

・ソーシャルメディアの特性について

SNSを含めたインターネット上に発信された情報は瞬時に世界中に拡散され、一度出回った情報を取り消すことができないということをしっかりと理解し、慎重にソーシャルメディアを利用すること

 

守るために気を付けるべきこと

ソーシャルメディアポリシーを作成し社員たちに守ってもらう上で気を付けるべきことは、形骸化させないということです。 ソーシャルメディアポリシーは、ただ作成して企業のホームページに載せて作成したことをアピールすればいいというものではありません。

 

内容を社員たちが理解し守られてこそ意味を成します。 そのため、定期的に研修を行って理解を深めたり、復習の機会を設けたり、ソーシャルメディアポリシー自体の内容を定期的に見直したりして形骸化しないように工夫し続けることが重要なのです。

 

防止策②:従業員に対しての研修について

続いては防止策2つ目の研修について詳しく見ていきましょう。

 

研修の重要性

ソーシャルメディアポリシーの内容をどれだけ素晴らしいものにしても、それが社員たちに浸透していなければ全く意味がありません。 社員たちに深く理解させ、浸透させるために研修が重要な意味を持ちます。

 

研修では、SNSの有用性とリスクの両方を伝えながら、実際に起きたトラブルの事例を紹介し、SNSの運用についてはルールに従って適切に活用していかなければいけないという認識を持ってもらえるように教育します。

 

そして、最終的にSNSのトラブルが起きてしまうと企業への損害だけでなく、自分自身にも重い責任が問われたり、時には社会的制裁が下されたりしてしまうリスクを理解させるようにしましょう。

 

効果的な研修の内容

研修の内容としては、主に

・自社であらかじめ定めているソーシャルメディアポリシーの内容説明

・SNSとの上手な付き合い方

・実際に企業で起きているSNSトラブル事例の紹介

・実際に起きたトラブルの裁判事例と判決の紹介

・情報セキュリティー教育と日頃から気をつけるべきこと

を盛り込みながら進めていくといいでしょう。

 

なお、研修は実際にSNSアカウントを運用する担当者や若手社員、アルバイト・パートだけで十分と考えている方も多いのですが、ベテラン社員や役員たちにも研修を行うことが重要です。

 

これまでのトラブルのケースとして、役員自らのSNSアカウントから炎上トラブルが起きたこともありますし、役員が飲みの場でうっかり会社や取引先の機密情報を若手に話してしまいそれがSNSで拡散されて炎上にいたったケースもあるからです。 SNSトラブルから会社を守るために、会社に所属する全員に対して研修を行っていきましょう。

 

研修の形式

研修の形式には、

・グループディスカッションなどでより理解を深めやすい集合型の研修スタイル

・PCやスマートフォンで受講できるeラーニングのスタイル

・送られてくる教材を使って各自で学習する通信教育スタイル

などがあります。それぞれのスタイルにメリット・デメリットがあるので、自社に合った形式を選ぶといいでしょう。

 

防止策③:SNS投稿の監視について

最後にSNS投稿の監視について見ていきます。

 

投稿の監視方法

SNS投稿の監視方法としては、自社内で担当者を決めて行う方法と、外部に委託する方法があります。 自社内で行う場合は、毎日どのタイミングで何回監視を行うのか、どのキーワードで監視していくのか、どの程度の異常で報告するのかなどを事前に決めてから行うといいでしょう。

 

外部に委託する場合のサービスについては、

・SNSトラブル対策ソリューション

・株式会社エルテスのリスクモニタリングサービス

・アディッシュ株式会社のインターネットモニタリング

などがあります。

 

なお、最近ではSNSトラブル解決に注力している探偵事務所も出てきていて、炎上元となっている人物の特定や証拠収集も請け負ってくれるので法的措置を取る段階においても心強い味方になってもらえるでしょう。

 

監視のポイント

SNS投稿の監視におけるポイントとしては、投稿すべてにおいて過剰反応しすぎず、しっかりとSNSやネット上の評価を一旦受け止め、きちんと見極めることです。

 

本当に炎上リスクがありそうな投稿なのか、見当違いな評価なだけなのか見極め、批判的な投稿からは自社の問題点を拾い上げるきっかけにするといいでしょう。そして、いい評価についてはそこを伸ばしていくことで本来のSNS運用の効果を得られるはずです。

 

まとめ

SNSサービスは現代人にとって欠かせないものになってきていて、企業もSNSの存在を避け続けることはできません。

 

SNSはうまく活用できれば企業にとって非常に強力なマーケティングツールとなりますが、SNSに関する知識がまだ浸透しきっていないために不用意な投稿によって炎上トラブルや情報漏洩が後を絶ちません。

 

決して他人事ではなく、すべての企業がSNSトラブル防止策に力を入れていく必要があるのです。 あなたの企業がSNSトラブルに巻き込まれないよう、しっかりと防止策に取り組んでいくことをお勧めします。