最近、経済産業省のキャリア官僚2人がペーパーカンパニーを設立し、新型コロナウイルス対策の一環である「家賃支援給付金」だまし取ったというニュースが流れました。

ペーパーカンパニーを作ってお金をだまし取るなんて、自分とは関係ない遠い話のように感じるかもしれませんが、会社を経営している中で、実体のないペーパーカンパニーに出くわした経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ペーパーカンパニーの詐欺被害に遭ってしまうと、存在のない会社なので訴えたり裁判を起こしたり返金要求をしたりすることもできなくなってしまいます。 そこで今回は、ペーパーカンパニーの詐欺の手口についてや、詐欺被害に遭わないために気を付けるべきこと、そして万が一詐欺被害に遭ってしまった場合に取るべき対応を解説していきます。

ペーパーカンパニーとは

ペーパーカンパニーとは、その名の通り、登記簿という紙の上では存在するものの、会社としての活動を全くしないほぼ存在しないと言える会社のことを言います。

詐欺グループが、ペーパーカンパニーを設立し、狙った被害者からお金をだまし取り、会社とともに消えるために使われることが多いです。 また、ほとんどのケースで登記簿上の代表者も名前だけ貸している全く会社とは関係のない人物であることが多いので、詐欺被害を訴えたくても加害者が見つからずだまし取られたお金を回収することはかなり困難なのです。

ペーパーカンパニーを利用した詐欺の手口

この章では、ペーパーカンパニーを使った詐欺の手口について解説していきます。もし、以下にご紹介するような状況に出くわしたら、「もしかしたら詐欺かも?」といったん立ち止まって慎重に判断するようにしてください。 被害に遭う前に立ち止まることでリスク回避ができます。

発注費用を払わず転売

商品を大量に発注し、納品された後に支払いをせずに逃げ出し、手に入れた商品を転売して儲けるという手口です。

怪しまれないよう、最初は少量の商品を発注し、そのときは費用を期日までにしっかりと払います。そして相手が信用してきたところで大量に発注します。その大量の商品が納品されたらペーパーカンパニーごと雲隠れするのです。 商品の料金はかかっていないため、転売すれば原価がかかっておらず丸儲けできるという手口なのです。

初めての会社と取引をする際は、特に大きな金額が動くような状況になったら事前に企業調査をしておくと安心ですね。

土地購入金額をだまし取る

土地を購入させてそのお金をだまし取るというのもペーパーカンパニーの詐欺被害ではよくある手口です。

まず、所有者がその場に住んでいない、かつ所有者が高齢で不動産取引に出てこられないような土地を狙います。その土地の本当の所有者ではない別の人物を所有者のようになりすましをさせます。

そして、ペーパーカンパニーを中間業者に見立ててターゲットに取引を持ち掛けます。土地という大きな金額が動くものなので、司法書士や弁護士を仲介させてターゲットを信用させることが多いです。契約が成立し、ターゲットからの支払いが完了した時点で姿をくらますのです。

このような詐欺被害は、以前、アパホテルや積水ハウスなどの大手企業も被害にあっていて、大胆な犯行だと言えます。

まさか土地の所有者がなりすましで、中間業者がペーパーカンパニーだなんて想像もしないと思いますので、案外簡単に騙されてしまうのかもしれません。

給付金の不正受給

冒頭で触れたように、給付金の不正受給をするという手口もあります。

ペーパーカンパニーの前年度の売上を粉飾して申告し、今年度の売上を前年同月比で50%以下の売上になるように自分で調整して申告するだけで詐欺が成立してしまいます。

給付金の制度はコロナ対策のために急ピッチで作られたものなので、申告内容の裏取りすらされず、このようなペーパーカンパニーを作って嘘の申告をすることで給付金を不正受給している詐欺がかなりいると考えられます。

ペーパーカンパニーの詐欺被害に遭わないためにできること

ペーパーカンパニーによる詐欺は他人事ではなく、いつ自分の会社が被害に遭うかわかりません。では、詐欺被害に遭わないためにどのような対策をすればいいのでしょうか。

直接電話や訪問をする

まずは直接アプローチすることが大切です。あたかも本当に会社が存在し機能しているかのように事務所を用意してホームページも用意しているケースもありますが、詰めが甘いペーパーカンパニーもあります。

もし、いつかけても電話に出ない、ホームページに書かれた住所に会社がない、建物はあるけれど会社の表札がない、などの怪しい雰囲気が感じ取れた場合、その会社と取引するのは危険だと判断したほうがいいでしょう。

商業法人登記簿を調べる

商業法人登記簿を調べるという方法もあります。商業法人登記簿は法務局で誰でも取得することができ、その会社の登記簿をチェックすることでペーパーカンパニーかどうかを見分けることができます。

チェックするポイントとしては、

・社名変更が頻繁に行われている

・代表者の交代が頻繁に行われている

・本店の移転が頻繁に行われている

・取締役の退任や変更が長年なされていない

などをチェックしてみてください。

このようなチェックポイントに引っかかるものがあれば、ペーパーカンパニーである可能性が高いので、取引をするのをとどまったほうがいいかもしれません。

インターネットで検索する

インターネットでその会社について徹底的に調べるという方法も有効です。

まずはホームページがあるかどうかを確認し、ホームページに載っている会社概要や役員紹介、事業内容、採用情報、個人情報保護方針、リンクページなどがしっかり書かれているかどうかを確認してください。

また、ホームページに書かれている取締役や役員の名前で検索してみて、詐欺や犯罪などの記事が上がってこないかどうかもチェックしてみましょう。また、その会社の社名で検索すると転職サイトなどで評判が書かれていることも多いので、その情報も手に入れておくといいですね。

探偵に企業調査を依頼する

ペーパーカンパニーの詐欺被害に遭わないための対策として最も有効で安全なのが探偵による企業調査です。

企業調査を行ってもらえば、取引先の実態があるかどうか、詐欺団体ではないかどうかなどを調べてもらうことができますので、安心して取引を開始することができます。調査費用はかかってしまいますが、会社を守るうえで企業調査を行うことはとても重要なことだと言えるでしょう。

もし、ペーパーカンパニーの詐欺被害に遭ってしまったら・・・

どんなに気を付けていても詐欺被害に遭うことはあります。「まさか自分の会社の取引先がペーパーカンパニーだったなんて・・・」と最初は信じられないでしょう。

ペーパーカンパニーの詐欺に遭ってお金をだまし取られてしまったとなると、パニックでどう対処していいかわからなくなると思います。万が一詐欺被害に遭ってしまったら、以下の対応をするようにしてください。

探偵に企業調査を依頼して正体を掴む

ペーパーカンパニーの詐欺グループは、詐欺を行った後に姿をくらましてしまいます。素人ではその犯人が誰なのか、どこに行ってしまったのかを掴むことはできないでしょう。

探偵に企業調査を依頼すれば、残された手掛かりから犯人を割り出し、居場所を突き止めてくれる可能性が高いです。 被害に遭った直後のほうが犯人につながる手掛かりが多く、居場所を突き止められる可能性もあがるので、詐欺被害にあったらできるだけ早い段階で探偵に調査を依頼するのがベストです。

弁護士に相談する

探偵にペーパーカンパニーの正体を掴んでもらい証拠を取ってもらえたら、返金の要求や罪に問う法的手段を取ることができます。 裁判を起こすなどをする場合は、法律の専門家である弁護士に相談するのが安心ですし、手続きもスムーズに行ってもらえます。

まとめ

ペーパーカンパニーによる詐欺被害は年々増えていて後を絶たちません。 新しい取引をはじめるときや急に大規模な取引の話が舞い込んできたときなどはその取引先がもしかしてペーパーカンパニーでないのかと疑ってみたほうがいいでしょう。

企業調査を依頼すれば当然調査費用はかかりますが、万が一詐欺被害にあったときの損失や労力を考えれば、しっかりと企業調査をしておくほうがリスクを回避できますし、安心して取引ができます。 当事務所でも企業調査の実績は多数ございますので、ぜひ一度ご相談ください。